Murmur Mirrorの初ライブをNine Spicesでみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

魅力的なライブ、イベント目白押しで一体どうすればいいの? だった日曜日。体調激悪だったので昼イベもハシゴも諦めて、Murmur Mirrorの「初ライブ」へ。バンドの初ライブは一回しかないですからね。去年のデビューEP超大好き! 以上の情報はほぼない状態で行きました。メンバーはGt.Cho.が増えて3人に、ライブは豪華サポートメンバー入りで6人、トリプルギター編成でした。緊張感とか嬉しさとか初ライブならではを感じながらも、キラキラ轟音ギターと透明感あるボーカルにガッツリと掴まれました。次のライブは来年2月とのこと。〈Oaiko × BASEMENTBAR pre.〉のやつですね。次も観にいきます!

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈11月26日にリリースされる、2ndアルバムのアコースティック・アレンジ・アルバムからの先行シングル〉、Heavenstampの “Dr. Moonlight(Acoustic)”、Maika Loubtéの “Moshi Moshi (feat. butaji)”、ひとひらの “See off” の3曲です。

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Anorak!をWWWでみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

EP『Fav Riff』のリリースツアー、ファイナル。とても変なことをやっているのだが、あまりにも普通にスムーズに何気なくやっているので、変さを忘れてしまう。それをカッコいいと思うか食い足りない(?)と感じるかは、聴き手側の問題なのだろうか。誰かがやった新しいことが他にも広まるにつれそれが「普通」になっていくことはよくあるが、いまのAnorak!はそれを自分自身たちでのみ推し進めていっているようにすら感じる。エモでバレアリック、純粋にめっちゃカッコよかったです。対バンのNo BusesとTexas 3000も含めて、意思に殴られた夜でした。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈いろんな枠からはみ出しつつある2nd EPから壮大なストーリーを感じさせるこの曲を〉、cephaloの “ヴェイパーロード”、ハシリコミーズの “パラディドル”、つきみの “あなたが眠りについた後” の3曲です。

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〈ちゅうおん〉初の屋内ホール公演をカルッツかわさきでみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

過去6回、秩父ミューズパーク・野外ステージで行われてきた私立恵比寿中学〈ちゅうおん〉、初の屋内ホール公演に行きました。屋外で “今この時この瞬間の特別さ” を感じるイベントから、遊び心溢れる上質なバンドセット・ライブへ、でしょうか (私見)。恒例のソロ・カバーの選曲も、これまでの「課題曲」を感じさせるものから、今の本人の魅力を輝かせるものへ、かな。体制が変われば魅せかたも変わる、良い変化だと思います。2曲めの “自由へ道連れ” で「あ、この8人で大丈夫だ」と思わされました。「大丈夫」とか言うと語弊がありますね笑。不安だったという意味ではなく、いつの時代も安心・信頼のえびちゅうを再確認、みたいな。“ボイジャー” の良曲っぷりを改めて感じたり、ソロカバー・メドレー・コーナーを “春の嵐” と “君のままで” で挟むという構成のエモさに震えたり。ソロカバーは、小久保柚乃の “Over Drive” (JUDY AND MARY) が天才。2021年の “シャングリラ” (チャットモンチー) を思い出しました。あの年の「3人」への配曲は優しかったよな、とか。後半ある場面でのメンバーの並び、左から、

仲村・真山・中山・安本・風見・桜井・桜木・小久保

の並びの美しさがとても印象的でした。これが未来ですね (並び間違ってたらごめんなさい)。他にもいろいろありますが、後記なのでこのへんで。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈ゲシュタルト乙女・Mikan Hayashiの郷愁を誘うメロディと京 英一 (雪国) が揺らす瑞々しい風がJ-POPに結実する〉、ゲシュタルト乙女の “梅雨(feat.京 英一)”、秋山璃月の “サウンドチェック”、ひとひらの “夏至”、乙女絵画の “100年” の4曲です。

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Oasisを東京ドームでみてない

(OTOTOY編集後記からの転載です)

タイトルオチ。本日は以上です。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈先行曲もなく突如リリースされたセルフタイトル・ミニアルバム。マスロック、ポストロック、ドリームポップ、ミッドウェスト・エモ、スタジアム・ロック等々の多要素が絡みあう多様な全7曲から、悩んでこの曲を。〉、pealの “26 miles”、田中ヤコブの “いつか終わる恋のために (feat. 榊原香保里)”、ponderosa may bloomの “hana no ame” の3曲です。

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家主をO-EASTでみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

ツアー・ファイルでした。ツアー序盤のCITTA’は予定かぶりで観られず。ようやくです。同案多数皆言っていることで恐縮ですが、やはり、ロックバンドの希望ここにあり、だなあと。ギター2本の4ピースバンド、前3人が交互にリードボーカルをとり、ドラムを含めたメンバー全員でのコーラスワーク。ギターソロらしいギターソロ、ギター2人の交互ソロ。そういうバンドの熱い演奏がフロアを揺らし、シンガロングを誘う。「呼ばれりゃ出てきますよ」と言ってはじまった、ダブルアンコールの高速 “家主のテーマ” (2回め、本編では通常速度) で見事な大団円でした。終演後、会場を出たら手渡されたのが〈家主と超右腕〉のフライヤー。伏してお願いするので東京でもやってください……

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈the Stillのアルバムから。結成10周年にして1stフルアルバム、2枚組全28曲! 詰まりまくってます!〉、the Stillの “You always clap for the wrong reasons”、hardnutsの “morphium” の2曲です。

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羊文学を日本武道館でみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

実に堂々たるアリーナ級ロックバンドっぷりでした。いったい自分自身をどれだけ注ぎ込めばここに辿り着けるのだろう、と。大阪城ホールから始まった「アジアツアー」。海外6公演を経ての武道館2days。明けて今週からはヨーロッパツアー7公演。初の武道館に「ホーム感」を感じると言うのはそういうことなのかも。整理されていて輪郭鮮やかな轟音と、そんな音を見事に可視化した照明。「武道館を飛ばして」行われた横浜アリーナから、東京ガーデンシアターを経て、武道館に、すべてを観ることができました。順番は違いましたが、BASEMENTBARワンマンから武道館〜アリーナまでを見届けることができたので、自分内でも一段落感があります。もちろん今後も楽しみです!

他、土曜日、ついにライブを観れた蟹蟹 (クラブクラブ)、めっちゃ良き。まわりが勝手に上げているバーを軽々と越え、ちゃんとゴリッとはみ出し突出する部分があって、素晴らしかった。翌日はSlowwves (from Bangkok, Thailand)。こちらも良かったです。あれだけ良い音をすっと出すのが世界基準。バンド名の「字面がSlowdiveに似てる」と「”wwv”のところが、っぽい」のままのような楽曲達、好きです。バンドの初国外ツアー初日=初国外ステージに立ち会えて幸せ。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈とっつきやすさとおかしさの幸せな共存。ほんとうにいまの日本のバンドシーンは面白い。ぜひアルバムきいてください〉、開始の “香川生花店”、iVyの “ゆがむ ぴんく”、roi bobの “天使”、Jurassic Boysの “How (i fall into your eyes?)” の4曲です。

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ひとひら×雪国を東京キネマ倶楽部でみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

〈Oaiko pre.「これまでとここから」〉、ひとひら×雪国のツーマン、ソールドアウトのキネマ倶楽部。びっくりするくらい客層が若い。ひとひらの山北せなが「互いに切磋琢磨しあってここまできた」と語る2バンドが、どちらもここまでの到達地点を存分に示し、どちらも来月リリースのニュー・アルバムという「これから」を予感させる、そんなライブをしてくれました。イベント・タイトルの「これまでとここから」は、単にこの2バンドやOaikoレーベルにだけではなく、シーン全体についてあてはまる、そんなメルクマールとなる1日だったと強く感じました。両バンドは11月にアルバムをリリースしツアーを予定、Oaikoは来年6月に〈Oaiko FES 2026〉を渋谷5会場で開催とのこと。まさに、ここからです。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈2人組ユニットの1stアルバムから秋の夜にぴったりなこのラスト曲を。来週月曜日のリリパはフルバンド編成で、とのこと。〉、petalheadの “Called to the Shore”、pudelhundsの “mental sketch modified”、Japanese Footballの “Yours To Lose” の3曲です。

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REVIEWS : 105 インディ・ポップ〜ロック (2025年8月)

(OTOTOY REVIEWS 連載REVIEWS : 105 インディ・ポップ〜ロック (2025年8月)──OTOTOY編集部」から転載)

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パターソン『Hey,』

2024年に結成された、セリザワヒナタ (Vo/Gt) とモリライト (Gt) によるインディーロック・バンドのファーストEP。プロデュースはGateballersの濱野夏耶。収録曲名が順に、remember、微熱、Utopia、セピア。この4つの単語自身が本作の全体像を鮮やかに示している。心地良く微睡みながら、ときに鋭く胸を刺す言葉を響かせるボーカル。ドラム、ベース、2本のギターで構成されたアンサンブルは、各楽器が粒立ちながらも一貫して仄かな感情の起伏を支える。記憶と夢想、現実と郷愁が交錯するサウンドスケープが深い余韻を残す。7月にリリースされた作品だが、まさにこれからの季節にこそ聴いてほしい。

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SYAYOS『Anthem 1.1』

長野県伊那市発、4ピース・バンドによる、鮮烈なファースト・アルバム。2024年7月の結成から最初の8か月で生まれた全8曲を収録する。オープニングの “Spaceboy” からその壮大なスケールと爆発力に圧倒され、その驚きは後続の楽曲ごとに繰り出されるアイデアと野心により次々と更新されていく。比類なき存在感を放つ、すずきひなの伸びやかな歌声を中心に据えながら、それに伯仲する各楽器の音の良さが印象深い。生々しさを保ちながら洗練され、スタイリッシュでありながら郷愁を帯びる響き。最終曲 “Telescope” を聴き終えるころには、「このバンドはいったいどこまで行くのだろう」と胸が高鳴る。間違いなく、マイ今年の新人賞確定だ。

Perfumeを東京ドームでみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

年に一度も行かないですが、アーティスト限らずに東京ドームの公演前の雰囲気が大好きです。好き①、ひとが多い。こんなにたくさんのひとがこのアーティストをみにきたということに感動する。好き②、ひとびとの種々雑多さ。単一のトライブ (部族) だと4万人集まるのは難しい。たいていのドーム公演は老若男女種々雑多ほんとうにいろんなひとがいます。ターミナル駅の雑踏をそのまますくってもってきたかのような。そんなひとたちが同じTシャツ着たりタオル背負ってたりする。好き③、わくわくに充ちてる。ライブを楽しみにしているひとが4万人いるんですもの。そりゃ良い空気になります。

さて、Perfume。「コールドスリープ」が分かっていれば2日めのチケットを買っていただろうけど、今回は初日で。事前に予感は感じませんでした。でも2日めも配信でみられたので、とても良かったです。ライブは、どんなひとも楽しませる、どんな感情も受け止める、その覚悟、みたいなやつ。個人的には、活動休止発表以前から、「ネビュラロマンス」のストーリーとも関係なく、いまのPerfumeの大事なテーマは「人間宣言」だと勝手に思っていました。ライブがはじまり3人の姿が見えた瞬間、巨大な「システム」の真ん中に立つ「生身の人間」としての存在の強さに心乱れ、あとはひたすら楽しかったです。日曜日のRAY、その翌日のPerfumeと、方向性も規模も違いますが、ここまでやるんだ、ここまでできるんだ、と感じたものは同じでした。続けて体験できて本当に良かったです。

ほかにも、國のレコ発ワンマンむちゃくちゃカッコよかったとか、〈パンと音楽とアンティーク〉はほんと天才的なイベントとか、SHISHAMOの活動終了発表とか、書きたいことがたくさんありすぎの先週でした。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈幾多の海外公演を経てリリースされたニューアルバムから。進み続けるからこその、いまが一番カッコいい。〉、soccer.の “September”、luvisの “Oh”、Sisters In The Velvetの “Red Strobe” の3曲です。

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OTOTOY Weekly 新譜紹介、2025年7・8・9月分

(OTOTOY Weeklyの新譜紹介から2025年7・8・9月分を転載)

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7月第1週

Frankie Cosmos『Different Talking』

好きなものは好きだ、そんな言葉が思い浮かぶのは、このFrankie Cosmosの6枚目のアルバムが「“原点回帰” ね」などと言われ得るることへの心理的防御だろうか。だが “かつての自分” と無関係でいられるものなどいない。意図して時間軸にわたって内省的であることに意味はある。そのうえでこんな素敵なアウトプットが生まれるのであれば、なおさらだ。制作用に借りた家のリビングルームでのセルフ・レコーディングとのことだが、「音が良い」アルバムだ。そうした大小の揚棄を重ねることで、ひとは前に進む。

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7月第2週

daisansei『春団欒 ep』

優しく切なく沁みる歌メロ、言葉にしておかないと通り過ぎていってしまう何気ない情景や記憶を紡ぐ歌詞。かつてあったであろう、フォークソングとアメリカン・ポップス/ロック、UKポップス/ロックとの葛藤の平和的解決が、いまもこうして歌い続けられている。だが歌われ奏でられる音の鳴り・共鳴の快感は全くもって「今」だ。daisanseiは日本のポピュラーミュージックの系譜の正統な後継者だと思う。

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7月第3週

望月起市『すべて光の為に』

望月起市のキャリア初となる1stフルアルバム。ライブをアコースティックなソロセットと卓抜なサポートメンバーを擁するバンドセットとでやりわけるような音楽的発露が、音源にも現れるかのごとくフォーク、オルタナティブ、インディーポップなど様々な要素が絡み合う11曲を収録。高井息吹や幽体コミュニケーションズ・吉居大輝の客演/参加も印象的。9月にはリリースを記念したワンマンライブを開催予定。

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7月第4週

しんきろうのまち『しんきろうのまち』

しんきろうのまち、セルフタイトルのフルアルバム。グッドメロディとメランコリー。柔らかなトーンで、感情を押しとどめるように紡がれる歌。しかしその底には、燃えさかるような激情が見え隠れする。エレクトリック・ギターという楽器の不思議さと魅力を、あらためて思い知らされる。日本のロックシーンに連綿と連なる系譜に、こうして新たな作品が投じられることを、心から歓迎したい。バンドを続けること、音楽を作り続けること、そしていつも「その先」に手を伸ばし、歩き続けること。それらに向けるべき称賛に、どんな言葉が相応しいのか。ここではまず──ありがとう、を。

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7月第5週

The Otals『All Imperfect Summerland』

シューゲイザーが夏と結びついたのはいつどこからなのだろう? これは日本特有の感覚なんだろうか? この夏を描くためだけに準備されたという、The Otalsの2ndフルアルバム。全17曲、70分超の大作。「永遠と一瞬」の対比がテーマであるならば、たしかにそれは夏そのものだ。いわゆるシューゲイザーの「浮遊感」とは異なる、FAXxxxxxとMarinaの男女ツイン・ボーカルの「虚構」が、ふと地に接するときに感じるヒリつきは、常になにかが足りなくて終わることが分かりきっている夏の痛みと同じだ。

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8月第1週

fumi『無意識の変質』

吉田涼花 (plums) と藤谷真吾 (1inamillion) による音楽プロジェクト、fumiのニュー・アルバム。各収録曲名についている “Elc version” とは、(バンド・アレンジではなく) 打ち込みのトラックを主体とした楽曲アレンジを示す。fumiはライブでもバンドセットとElcセットのライブをやりわけている。fumiの魅力である吉田の声と藤谷のギターが俯瞰的な視点で味わえる、面白い試み。Elc versionはバンドversionより80cmくらい宙に浮いている感がある。空を飛べるなんて羨ましい。

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8月第2週

オートコード『that you know』

ロックのギターには胸を締め付けさせる力がある。それはみんな分かっている。だが、なぜ、どうしたらよりキュッとさせられるか、それはいつまでたっても分かりきれないのだろう。だから今日も誰かがギターを鳴らし、歌をうたう。今の感傷もノスタルジアも混ぜ込ぜにして。京都の4人組から送られてきた “2025年の夏”。

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8月第3週

家主『NORM』

家主の最新EP。5曲しかないのか……という気持ちになってしまう充実の作品 (言ってることが矛盾してる)。ロック/ポピュラー・ミュージックの歴史への敬意と己の創意を4ピースバンドという形態に注ぎ込み、そして生まれるグッド・ミュージックたち。心地良くそして切なく、胸をクシュッとさせえるエレクトリック・ギターのフレーズとともに繰り返し歌われる「今日も不安でよかった」という言葉。よかった… と よかった? の間を揺れつ行き来するビート。ラストの “YOU” は「NO FADE ver.」。名残惜しさ満足感に満ちる1分半のアウトロ。もっと、もっと。

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8月第4週

水野蒼生『& fancy.』

オルタナティブ・クラシカルを掲げる音楽家、水野蒼生の自身初のEP『& fancy.』。ゲストとして君島大空がギター/コーラスで、尾崎勇太 (Khamai Leon) がラップ/フルートで参加している。指揮者、クラシカルDJとして知られる水野蒼生が自身でのオリジナル楽曲制作を開始し、今回届けられた4曲入りのEP。クラシカルな技法・エッセンスと、近年の日本のインディペンデントの潮流との接地のしかたが興味深く、その差配が心地よい。まだまだ楽しみはたくさんあるな、と思わせてくれる作品。

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9月第1週

國『Kids Return』

人はなぜ歴史を学び、古典を読むのだろう。よく言われるのは、現在の自分を相対化し、過去を共有する他者との共通言語を持ち、未来を歩むためだ。スマッシング・パンプキンズが12年ぶりに来日する2025年9月にリリースされた、若きオルタナティブ・ロック・バンド、國の1stフルアルバム。90年代の音像を濃厚に湛えながら、自らの知性と意志に基づき緻密に編まれた楽曲群。今日ここからこれを共通言語にすればよい、とさえ思う。M10 “Tiny Sun” はこんな歌詞ではじまる。「鏡の中に 新しいことなどない 同じような歪み 作っては壊した」。國が差し出す新しい光を、わたしたちは見逃さずにいたい。

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9月第2週

Blume popo「月夜銀河へ」

胸の内のざわめきに寄り添い、ささやかな下支えを試みる、エレクトリック・ギターの旋律。同様に、歌い手と聴き手が互いの距離を確認しあうかのように響く歌詞と歌。声量が上がりバンドの音の厚みが増す瞬間、まさに歌詞のように、背中を押し、押される。ドイツと日本の2拠点で活動してきたバンドは今年、拠点を東京に移すとのこと。

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9月第3週

Khaki『ソロ・コンサート 2024.12.1』

昨年12月に恵比寿LIQUIDROOMで開催されたワンマン・ライブを収録した、Khaki、自身初のライブアルバム。あの日あの場所にいたものは皆待ち望んでいた、あの場にいられなかったファンが切望したリリースだ。Khakiのライブならではの色やダイナミズムが余すことなく収められている。今年5月にリリースされた彼らの2ndアルバム『Hakko』にも収録される、個人的にも今年前半随一の問題楽曲だと思う “文明児” のライブ・テイクがいつでも聴ける、ただそれだけでも嬉しい。

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9月第4週

Lola Young『I’m Only F**king Myself』

ロンドン出身のシンガー・ソングライター、ローラ・ヤングによる3枚目のスタジオ・アルバム。UKチャート1位を獲得したシングル「Messy」、前作アルバム『This Wasn’t Meant for You Anyway』を経て届けられた本作には、彼女の強さと脆さ、誇りと混乱が、全14曲を通して繊細に織り込まれている。ジャンルをまたぐサウンド・プロダクションは時代の空気を映し出すが、それらを貫くのは彼女の〈声〉の強度だ。「強くありたい」と「傷ついている」の間を行き来する自分、誰にもある揺らぎ・矛盾・混沌。聴き手それぞれの「今日」がここから立ち上がる。