私は私だけじゃない

(OTOTOY編集後記からの転載です)

「ベッドルーム・ポップ」とも呼ばれるタイプのアーティストの作品が、昨年後半あたりから変化しているうように感じます。よりクリアに、そして確信のある音楽へと。ひとつの仮説は、昨年春以降“ベッドルーム”がほぼすべてのアーティストにとって「そこがリアル」の場所になってしまったことで(たとえが卑近すぎますが我々レベルですら“自宅”が仕事や学校のリアルの場になってしまったのと同じく)、もともと「そこ」にいた彼・彼女たちが確信と自信を持って前に進めるようになったのでは、というもの。先週末公開のOTOTOY EDITOR’S CHOICEでは、そんな楽曲を集めたプレイリストを作成しました。優しくも力強い、そして大好きな楽曲たちです。この他にも残念ながらOTOTOYで配信されていないため入れられなかったアーティストも多数あり。今年後半、ますますこの方面の動きに期待大です。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈Sakura Chill Beatsで公開されたヒロアカEDテーマ曲のRemix、配信開始。〉、the peggiesの “足跡 (RetroVision Remix) [EXTENDED MIX] – Sakura Chill Beats Singles”、他、ウ山あまねの “来る蜂”、Laura day romanceの “happyend”、Samiaの “Show Up” の4曲です。

被る

(OTOTOY編集後記からの転載です)

同じ日に行きたいライヴが複数あることがあります。「被る」とかよく言いますよね。被ったときにどちらかを選ぼうとすると気を病むしキリがないので、マイ・ルールとして「基本、先にチケット買ったやつに行く」ことにしています。例外はその都度判断。あと、なんでか知らないけど、行きたいライヴが集中する日もありますよね。個人的に「特異日」とか呼んでますが、こちらは一般的な言葉じゃないかも。先週の土曜日17日はそんな特異日でした。4つくらいまでは数えてたけど途中で数えるのをやめました。発表があるたびに「あ、7/17ね……」みたいな。この日もマイ・ルール貫徹により、揺らぎのレコ発・初のワンマン・ライヴへ。文句なし。いい空気の振動でした。よくやったぞマイ・ルール。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈左右に置かれる淡い音の鮮明さ、懐か新しいサウンドが印象的。もちろん曲も良し。〉、Clairoの “Amoeba”、他、colormalの “さまよう”、chloe moriondoの “girl on tv (acoustic)”、神はサイコロを振らない, アユニ・D, n-bunaの “初恋” の4曲です。

FRUN FRIN FRIENDSのリリパにいった

(OTOTOY編集後記からの転載です)

先週リリースされたフルフリの1stフル・アルバムがとても良かった。曲たちが見事なまでにすべて良く、その上で彼女たちが創り上げ、確立した彼女たち自身のトーン、確固たる世界が際立ち、眩しささえ感じます。聴いていてちょっとグッときてしまいました。そしてそのリリース・パーティーが金曜日に(これが初ワンマン?)。こちらもとてもとても良いライヴでした。アルバム全曲を(ほぼ)曲順通りに披露。途中に挟まれた「お楽しみコーナー」としてあヴぁんだんど“さん”の曲もあり。ラスト2曲がアルバムとは順番を替えて、本編ラストに“プアンコンタイ(เพื่อนชาวไทย)”、アンコールに“カステラたべたい”。“カステラたべたい”はOTOTOYで販売しているハイレゾ版にのみボーナストラックとして収録されているアコースティック・バージョンで、はじまったとき心の中でガッツポーズが。ほんと大好きなんですよね、このバージョン。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈フルフリの最高な1stアルバムから、The Broken TVカバーのこの曲を〉、FRUN FRIN FRIENDSの “プアンコンタイ(เพื่อนชาวไทย)”、他、Always You, Cony Planktonの “All I Wanted Was You (Japanese Version)”、長谷川白紙の “わたしをみて” の3曲です。

そして先週の推薦曲は、〈韓国インディロック・シーンから日本へ、至極の一曲〉、The Black Skirtsの “EVERYTHING (Japanese Ver.)”、他、Sisters In The Velvetの “Love, Massacre”、Daokoの “fighting pose”、Tomggg, Lil Soft Tennisの “Rent A Car”、あたらよの “8.8” の5曲でした。

Total Feedback (配信)でplumsとRAYをみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

かなり悩ましかったけど致し方なく配信で(まあチケット持ってなかったんだけど)。plumsは、plumsならではの「せめぎ合う3つの凛とした“メロディ”」はそのままに、バンド全体のスケールがゴリゴリに増していてまじカッコよかった。昨年おこなったplumsのインタヴューで、1年後の自分たちについての質問に(当時メンバーの) 3人とも答えていたように、「最高」になっていました。今後のもっともっと、最高の最高が楽しみです。そして新譜がでたばかりのRAY。前進する彼女たちと、歌い継がれる”スライド”。みていてちょっと切なくなってしまいました。RAYは今週末に新メンバー・新体制のお披露目です。こちらも楽しみです。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈音楽的カヴァレッジを拡げながらもますます研ぎ澄まされていくNo Buses最新アルバムから。〉、No Busesの “Alpena”、他、Clairoの “Blouse”、Sarcastic Soundsの “Closure (feat. BIRDY and Mishaal)” の3曲です。

そして先週の推薦曲は、〈届きそうで届かない、希望と絶望のなかに仄見える光。〉、ドレスコーズの “ピーター・アイヴァース (バイエル版)”、他、揺らぎの “While My Waves Wonder”、orbe, haruka nakamura, 田辺玄, LUCAの “Same Song” の3曲でした。

EX THEATER ROPPONGIの「3階」席でリーガルリリーをみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

かつてJAMやWARPでほぼ同じ高さの目線で、FEVERやSHELTERで少し下から見上げていたリーガルリリーを、EX THEATERのB1Fという名の実質「3階席」でみました。はじめて遥か頭上から見下ろすリーガルリリー。そのステージには一切の装飾がなく(正確にはギターアンプの上になにかが二体)、3人と、3つの楽器と、ライヴ中に3人が放つ光を鮮やかに増幅する照明装置だけ。初期の代表作(“リッケンバッカー”)をこのようにライブ中盤の何気ない1曲へと消化し進化させるアーティストは稀な気がします。かつて演奏するだけで会場の空気を張り詰めさせていた“ぶらんこ”はライヴ後半のよりスケールの大きなパートの幕開けを飾る1曲に。本編最後の曲となる“蛍狩り”を語るたかはしほのかは大人になりました。3人が3人とも際立ち、それぞれ主張のある音を奏でるスリーピースであり、それがそのままバンドのスケールの大きさにつながっています。曲の存在感を後押しするする照明が良し。そしてなによりPAの音が抜群に良かったです。粒立ちが良く、1弦1弦、1太鼓1シンバルの手にとるようにわかるような音でした。彼女たち自身も、彼女たちを取り巻く状況も、すべてが進化したライヴでした。MCも進化してますよ(たぶん……)。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈聴く者にそれぞれの心情を、情景を、空気の匂いを想い起こさせる名曲がまたひとつ。〉、Laura day romanceの “東京の夜”、他、odolの “独り”、Justin Bieberの “Peaches (Remix) feat. Ludacris, Usher & Snoop Dogg”、ayutthayaの “そうでもない”、adieuの “愛って” の5曲です。

そして(編集後記の別のコーナーで取り上げられているため)ここには入れなかったけど、超重要曲が、上白石萌音の “君は薔薇より美しい” です。まじ素晴らしい。

1976年のカヴァー・ソング

(OTOTOY編集後記からの転載です)

先週末に地上波初放送された映画『ボヘミアン・ラプソディ』が話題ですが、もうひとつじわっとひろがりつつあるのが、1976年に録画され2012年にYouTubeにアップロードされたこの映像です。Sixpenceというバンドが演奏する“ボヘミアン・ラプソディ”のカヴァー。バンドの素性はわかりません。〈箱バン〉的なやつでしょうか。6分弱、本家Queenでもライヴでは演らないオペラ・パートも含めたライヴ演奏です。ギターはいませんが、カヴァーしてます。“ボヘミアン・ラプソディ”はこの前年、1975年のリリースでした。こんな時代だったんですね。この曲の「突然変異」っぷりにあらためて驚かされるとともに、それをさらっと完全カヴァーしてしまう名もなきバンドの地力に、音楽の底知れなさを感じました。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈衒いなき真っ向勝負。轟くサウンド、浮上するヴォーカル。王道でありながら、彼らそのもの。〉、揺らぎの “Underneath It All”、他、Laura Ribeiroの “Now Or Never (feat. Chocoholic)”、Remi Wolfの “Liz”、Greentea Pengの “Jimtastic Blues” の4曲です。

赤い公園 THE LAST LIVE「THE PARK」を配信でみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

前体制のラスト・ライヴ「熱唱祭り」は当初チケットを買っていなかった。本当に好きな人たちこそが行くべきだと思ったから。でもそのチケットは次の週末になっても完売せず、そんなことがあってよいわけないだろうと怒りに任せてチケットを買った。結局それがそれが前体制でみた唯一の「白装束ではない」ライヴだった。今回のチケットはいわゆる秒殺。現体制のそして赤い公園としてのラスト・ライヴは配信での参加となった。忘れそうになるけど『THE PARK』のレコ発ライヴでもある。過去に感じたことのない複雑な感情でみるライヴ。みおわってもそれが整理されたとは言い難い。『THE PARK』、続く「オレンジ / pray」からの楽曲が最新の音として届けられる。赤い公園・石野理子のお披露目ライヴだった2018年のVIVA LA ROCKで聴き彼女たちの未来を確信した“Canvas”をそれ以来はじめて聴く。あのときの確信はまったく間違っていなかったのに。けど、すべての歌は作品として残り、3人はそれぞれに活動を続けていくのだろう。それこそが、この上ないこと、だ。最後にライヴをみせてくれたことに、本当に心から感謝します。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈グッドメロディとともにやってくる「あの夏」が待ち遠しい。今年だからこそ。〉、The Recreationsの “Roulette”、他、諭吉佳作/menの “この星にされる”、Bearwearの “madoromi”、宇宙まお, miida and The Departmentの “SHIOSAI” の4曲です。

インナージャーニーの初ワンマンをみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

インナージャーニー、初ワンマン@渋谷WWW。最初の音源リリースが昨年3月、キャリアのほぼすべてがコロナ禍下、という経緯からの貴重な有観客ライヴが初ワンマンとなりました。もともとはソロアーティスト・カモシタサラのバンドセットだったインナージャーニーですが、ちゃんとバンド感があり、とてもバランスが良い。そして、平静で、ニュートラルで、真っ正面を向いたその姿勢は今の若いアーティストのありようそのもので、例によって個人的に羨ましく思うやつでした。2010年代のベッドルーム・ポップ、そして皆がベッドルームやリビングに居ざるを得なくなった2020年。グローバルなシーンにおいてそこから生まれたものが今ぼんやりと形を成しつつあると感じているのですが、それと並行に日本の「ガラクタだらけの六畳一間のこの部屋で (“クリームソーダ”歌詞より)」育まれた音楽。そのひとつの好例がインナージャーニーでしょう。未聴のかたは昨年リリースのEP「片手に花束を」と結成のきっかけとなった楽曲「グッバイ来世でまた会おう」をぜひ。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈技巧を技巧としてではなく心地よさにしてリスナーに届ける藤井風の真骨頂〉、藤井風の “Shake It Off”、他、THE PLANET WE CAN SEEの “Ocean of the Stars”、plumsの “僕の世界” の3曲です。

そして先週の推薦曲は、〈もどかしさに満ちた歌詞と歌メロとアレンジが癖になる〉、メレの “溺れるライフ”、他、Lillies and Remainsの “Greatest View”、yuigot & ぷにぷに電機の “Everywhere” の3曲でした。

立体感

(OTOTOY編集後記からの転載です)

何がショボいとかそういう話は放っておくとして、すこし前から感じてたのは、ステレオじゃなくてもよくなっているんだな、ってことでした。今どきのサウンドは音域と時間軸において整理され尽くしているので、モノラル・スピーカーで聴いてもじゅうぶんに“空間”が感じ取れる仕組みになっています。モノラルでも得られる立体感、その上でステレオであればそこに新たな発見や魅力がプラスで積み重なる、という構造。音楽を聴く場所、“スイートスポット”の束縛からの開放です。Sonosなどの、単体はモノラル、ステレオにしたければ2個買ってね、みたいなスピーカーの売り方はそれと軌を一にしているのでしょう。そしてもうひとつのルートは、モノラルから直接“空間オーディオ”に進むパターンでしょうか。ということで先週のリリースで特に印象的だったのが、RYUTistの「水硝子」でした。オリジナルの君島大空編曲にもカップリングのウ山あまねremixにも、そこに「整理」と「情報過多 (引き算の美学的なものへのアンチテーゼでもある)」との良いせめぎあいがみられます。今週のプレイリストにあります。オススメです。(お気に召しましたらぜひハイレゾでも)

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈現在16才、マルチ・プレイヤー、インディー・ポップ・アーティスト、Kali Flanagan。ついにデビューEPをリリース!〉、KALIの “Too Tired”、他、Cucoの “Forevermore”、tricotの “暴露”、Subway Daydreamの “Ballad” の4曲です。

そして先週の推薦曲は、BROTHER SUN SISTER MOONの “Heartbreak”、Ben Wattの “That’s The Way Love Is”、さとうもかの “Love Buds”、PUFFYの “Pathfinder” の4曲でした。

Secret Sky.

(OTOTOY編集後記からの転載です)

日本時間では日曜日の明け方からお昼まで開催されたPorter Robinson主催のバーチャル・オンライン・フェス、Secret Sky. 参加しましたか? すごかったですね。Secret Sky.は昨年の5月に次いで二度目の開催。昨年は“線”だった参加者たちが、今年はアバターを得ました。草原を駆け抜ける爽快感。そこにある音楽。これが2020年と2021年、この1年間の意味なんだな、と思いました。参加者間でボイス・チャットもできたのですが、あとは自分の視界にいる、横にいる、ふと振り返ったら後ろにいる他の参加者たちのノリや気持ちが共有できれば、どんなに素晴らしかったろうと。それこそはこれからの課題なのでしょう。かつてのライヴやフェスを取り戻すことももちろん必要ですが、それを求めてばかりいることのやりきれなさの上に建てるべきものがSecret Sky.にありました。「どちらか」ではなく「どちらも」手に入れましょう。欲張り上等で。

(2021.07.27追記)
Active Theoryからレポート出てた。
After a long anticipated build up… | by Active Theory | Active Theory Case Studies | Jul, 2021 | Medium

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈ゆるやかなリズムとメロディの中に少しの不安とその先の光明が垣間見える。アルバムが楽しみ!〉、Bachelor, Jay Som, Palehoundの “Sick of Spiraling”、他、Looisbosの “Virgin Hair feat. さとうもか”、眉村ちあきの “Call your name” の3曲です。

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