(OTOTOY Weeklyの新譜紹介から2025年1・2・3月分を順次転載)

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1月第2週

Jan flu「Do you know? (feat. Looisbos)」

Looisbos「Science Children (feat. Jan flu)」

4人組インディポップ・プロジェクト、Jan fluと、男女ヴォーカルのLo-fiインディポップ・バンド、Looisbosが、コラボ・シングルを2作同時リリース。それぞれのフィールドと、コラボならではのはみ出したフォルムの融合がどちらも心地よい。MVも2本公開。そして来週末には2組の共同企画ライヴも。

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1月第3週

柴田聡子「Passing」

思えば昨年の序盤は柴田聡子に驚かされて始まったんだった。そんな記憶を呼び起こさせる柴田聡子の配信単曲リリース。曲が始まると途端に空気の濃淡が変わる。既視と未知が綯い交ぜとなった揺らぎに支配される。今年はどんなモードで驚かせてくれるのだろう。

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1月第4週

Wang Dang Doodle feat. Cwondo「Wonderland」

ハイパーソウルフルガールズユニットWang Dang Doodleのニュー・シングルにCwondoがトラックメイク、アレンジで参加。CwondoのスマートでオルタナティヴなトラックとWang Dangのエナジーとグルーヴが聴き手の身体を揺らし魅了する。

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2月第1週

エイプリルブルー『yura』

元For Tracy Hydeの管梓を中心に東京のインディー・シーンで活躍するメンバーが集まり結成されたエイプリルブルーの、5年ぶりとなる2ndアルバム。“インディ・ロック” でありかつ “J-POP” であることへのひとつの回答。そこにあるのは (メジャー) シーンへの擦り寄りなどではなく、彼らのアイデンティティへの誇りと自負だろう。心と身体が揺さぶられる。

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2月第2週

Hoach5000『Orbit』

Hoach5000がソロ・プロジェクト活動4年を経てついに初のフル・アルバムをリリース。本作はBearwearのKou Ishimaruをプロデューサーに迎え、これまでのオルタナ、J-POP、ギター・サウンドへの耽美、ベッドルームといったテイストにエレクトロ要素が加わり、そして確実に “開かれた”。内省的でありながらオープンで自由、そこに音楽だけに留まらない20年代の希望を感じる。

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2月第3週

ときめきポメラニアン『ドッグランを抜けだして』

京都音楽シーンに突如として現れたときめきロック・バンド、ときめきポメラニアンが放つ1st EP。「ときポメ」の勢いとアイデアを存分に盛り込んだ本作。初配信曲 “カポタスト” は新ミックスで収録。ファンシーでメルヘンチックな世界観にときめいてほしい。

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2月第4週

水平線『Howling』

京都発、4人組、ダブルボーカル。いわゆる日本語ロックの継承とトラッドなフォークポップスを融合させつつ、聴いていてふと記憶を辿りたくなるような温かみ、懐かしさが詰まったEP。

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3月第1週

君島大空『音のする部屋』

本人みずから「EP芸人」と語る君島4枚目のEP。音楽をたらふく喰らい咀嚼し、それまでなかった音楽美を更新生成するさまに圧倒される。余裕綽々の疾走感と客観的冷静さ、ポップさが鳴り響くT1〜T4を経て、ストレートなようでいて何かがおかしいソウル・バラードのT5。そして名曲っぷりを隠そうともしない、合奏形態メンバーによる制作のT6で締めくくられる。君島曰く「今年の合奏形態の活動はすごい」らしい。期待に胸弾む。

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3月第2週

chilldspot『chilldspot 4th one man live tour “crowd surf” in Zepp Shinjuku (TOKYO)』

昨年秋ツアーの国内ファイナル、Zepp Shinjuku公演の全演奏曲を収録したライヴアルバム。上手いだとか表現力だとかいう言葉を超えつつある比喩根の圧倒的なヴォーカル、ますます凄みを増していくバンド・アンサンブル。その生々しさを堪能してほしい。

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3月第3週

Beachside talks『Hokorobi』

Beachside talks、初のフル・アルバム。メンバー全員が作曲に関わり、制作期間は約2年。今作は親友を亡くし心の傷を負った青年がイマジナリー・フレンドを通じて成長していく様子を描いたコンセプト・アルバムとなっており、諦念、喪失、感情の吐露によって溢れ出したカタルシスを、シューゲイズ/ドリームポップにとどまらず、R&B、UKガラージ、グランジ、ポストパンクなど多様なジャンルを織り交ぜて表現している。録音、ミックス、マスタリングはKensei Ogata、ジャケットは幌田による書き下ろしイラスト。

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3月第4週

Sundae May Club『風がはやい』

長崎発3人組バンドの2ndミニアルバム。ちょうど3年前に初めてSundae May Clubをみたときの感想が、「数年ぶりに『見たことがないド真ん中の直球剛速球』を投げるバンドに出会った」だった。“しとろんの週末” がそうであるように、それはいまでも変わらず。そして今作は「こんな球も投げられるの?!、しかも圧倒的にサンデメらしく」でもある。無敵じゃん。