(以下ヘヴィメタルにもアイドルにもまったく造詣が深くない私が書いております)
(余りに長いので3つに分けたw)

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BABYMETAL.1st辺りはとっ散らかってるし学芸会色が強いし(そりゃ「部活」だしね)ちょっとなあ,という感じだったが,去年自ら心を改めた(きっかけはYouTubeにあった海外ツアーのfancam).そしてこのあいだ出た2ndアルバムは本当に良い.聴きまくりである.

とはいえアルバムの中には「問題曲」もある.一般に最大のそれは「メタ太郎」だろうw(†1

話によるとこの曲は『メタル的な解釈で言うとヴァイキング・メタル』らしい.ヴァイキング・メタル…… まったく分からないが,たぶんチャント色が強くて「北欧神話」なんだろうな,みたいな.

で,ネットをみてたら,ヴァイキング・メタルの例としてこれが挙げられていた.

BABYMETALに対してよく(特に海外で)言われるのが「Gimmick or Metal?」だ.どうやらメタルの世界では「gimmick」という単語が独特の意味を持っているようだ.想像だが「良いギミック=世界観設定や良いショーアップ」と「悪いギミック=売るための姑息な手段としてのショーアップ」の両方の概念があり,それらをまとめて「ギミック」と呼んでいるようにみえる.そしてその両者の区別は高度に主観的だ.

「ギミック」の真の意味は外野からは分からないし,そもそもなぜ「Gimmick or not」が問題なのかも分からない.さらにこんなPVをみてしまうと…… これを許容する文化が,どの口で「ギミック」だの「子供騙し」だの言うか,というのが素直な感想である(†2

でも,このPVを最後までみてたら何となく分かってきた気がした.

こんなことをやっている.だからこそ逆に「お前はどれだけ本気なんだ.どれだけ自分の人生をかけて,自らの表現として,それをやっているんだ」という問いかけが重要となる.それが「Gimmick or Metal?」であるのかもしれない(†3

…………

「本気さ」.BABYMETALはどうなんだろう.

フロントの(という言い方が正しいかは分からないが)3人.そこは合格な気がする.日本のアイドルは他者から与えられたテーマに対して心から本気で取り組むことに関してはプロの中のプロフェッショナルだ.それをとてつもない強度でできる者だけが生き残れる世界.

一方で「大人たち」.くだんのプロデューサー氏は別として,(増える一方であろう)周囲の大人たちは(それが本心であるかどうかは別にして)『駄目なら,はい,じゃあ次』という思考じゃないとメンタルが持たない職種の人たちであるようにも思う.

どうなんだろう.大きくなるがゆえに,成功するがゆえに,意思決定が難しくなり,希薄になる.そんな,よくある話になってしまうのだろうか.どうなるんだろう.

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ギミック論とは別の海外ファンの視点(サウンド面以外)では,このビデオのこの部分の会話ががとてもおもしろかった(動画説明にリンクがあるオリジナルの別映像に日本人が日本語字幕をつけて公開しているものと思われる).

「日本語だから何を唄ってるか分からない.悪魔の歌に違いないと思ってる」
「チョコレートの歌だよ!!(大笑い)」
「世界で一番ハッピーなモッシュピット」
「みんな笑顔のサークルモッシュ.これは greatest things in the world you can make だよ」

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上のPVの例をみれば,(デスメタルの?)独自世界の構成要素のひとつである「サタニズム(悪魔信仰)」は「北欧神話」で置換可能であるようだ.だとしたら,アンチテーゼとしての「Hardcore & Angry」を「Kawaii」で置き換えることの何がいけないんだ? アリじゃん,としか思えない.

その2へ続く)

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†1
個人的には「シンコペーション」が断トツで○ソだ.日本盤にしか入らないからって,あんなク○な曲はないだろう.EU/US盤でその代わりに入る「From Dusk Till Dawn」は大変に素晴らしい.
†2
関連動画で出てきた別のバンドのPVがこれ.つまりはこの手のものがたくさんある.(ENSIFERUM – From Afar – YouTube
†3
それでもやはり外部からみたら同じ穴の狢でしかないと思う.