(その1からの続き)
BABYMETALの音楽そのものについては,マーティー・フリードマン氏が大昔から言っていることそのものだと,個人的には思っている.彼の主張を高いクオリティで実現し,それが正しかったことを証明しているかのようだ(†4)(†5)
おそらくBABYMETALは,その組み合わせに主たる新しさがある.個々の構成要素のクオリティは高いが,そこに特別な新しさはない(もちろん,立ち止まっていてはクオリティを保てない,という意味での先進性はあるに違いない).要するに「新結合」であり,まさしく「innovation」だ.そしてこれは余談だが,どの世界にも「組み合わせの新しさ」や「適用の新しさ」を新しいものとして認めない主義があるんだな,ということが巷のBABYMETAL評にから見てとれることは,個人的に大変に興味深い.
BABYMETALの音楽的な構成要素は,ハードロック,ヘビーメタル, デジロック,J-POP, アイドル,歌謡曲,ビジュアル系,アキバ系(今のアニソン的なやたら情報量が多く高密度な音楽)等々だろうか.
良し悪しではなく自分の好き嫌いで言えば,HR, デジロック,J-POP,歌謡曲が○で,HM,アイドル,V系,アキバ系が×だ.一番重要な2つが×な気がするが(笑),それでも十分に聴けるし,聴けるを超えて好きだと言えるものになっている.繰り返しだが,各々の構成要素のクオリティが高い点が,HMやアイドルが嫌いであってもこの音楽を好きになれる理由のひとつでもある.
ミクスチャーの狂気のレベルを一段階上げ,それを非常に高いクオリティと強度で行う.メタル云々を超えて,音楽の「末の世」における「再興の使徒」としては,ひとつの正しいチャレンジだと思う.
…………
BABYMETALのライブの音はとても不思議で,常に後ろでシーケンス音源が鳴り,コーラストラックが流れている.SU-METALのボーカルやYUI&MOAの合いの手の魅力,神バンドの演奏の優秀性がよく語られるが,一方でシーケンス無しではこのライブは全く成立しないと思われる.驚くべき両立っぷり,かつ,それでなければ産み出せないサウンド.今の音楽・今のライブではこれ普通のことなんだろうか?(自分が普段行くライブではここまでのものはあまり聴かないので正直よく分からない.一番近いのは岡村靖幸のライブかなぁ) 実はここら辺の実現のテクニックに(細やかな,日本的な?)オリジナリティがあったりして(←適当に言ってます)
そんなライブも含めた数ある音源やビデオのなかで好きなのを選ぶとすれば,やっぱバックがDragonForceのこれかな(↑とか言っておきながら神バンドじゃないのかよ!>自分)(†6).こいつの高画質・高音質版がとてもとてもとても欲しい.(ちなみにこのニコ動はコメント表示しても大丈夫=愛あるパタン,です)
1つめの「Road of Resistance」は大変な名曲であるにもかかわらず,オッサンかつJ-POP好きからするとサビがあまりにもジュディマリ(BLUE TEARS)すぎて背中のあたりがモゾモゾしてしょうがないという欠点がある(笑).何十回聴いても(何十回も聴いたよ)慣れない.でも,ある意味J-POPの名曲・名フレーズがこのように形をかえて世界で鳴っているんだと思うと,それはそれで喜ばしいことでもあるよな,とか思ったりしている(†7)(†8)
そう,まぎれもなく我々が聴いてきたままの邦楽(J-POP,邦ロック,ジャンルの呼び方は何だっていい)が,いま世界で鳴っている.
日本の評価とかそんなもんはどうだっていい.それだけで,こんなに嬉しいことはないじゃないか.
(その3へ続く)
————
- †4
- 「い〜じゃん! J-POP だから僕は日本にやって来た」:マーティ・フリードマン(Amazon.co.jp)
- †5
- (マーティ・フリードマン氏の発言部分書き起こし) どんだけ新鮮だかわかる?…
- †6
- それにしても,ロックバンドにおける同じ釜の飯を食った感というか同じ機材車に命を預けてた感みたいなのが醸し出す違いっていうのは一体何なんだろうね.
- †7
- さすがにあれは仁義きってあるレベルだと思いたい.ネットには「作曲にクレジットされている”KYT-METAL”は恩田快人」説まである.まあ読みは「よしひと」なんだけどねw
- †8
-
BLUE TEARSといえばやっぱりこれ.