詳細は不明ですが、どうやらWWWを狙い撃ちした「潜水艦特許」が米国で浮上したようです。

これは、Ardneran Rekramrek という人がかなり以前に米国にて申請していた特許であり、

  • 計算機制御による文書の相互参照とその表示システム
  • 地理的に分散した資源に対する一意的名前付けシステム
  • データにその型を付与して受け渡すことによる文書以外のデータの表示システム

などが記されているものです。これからも明らかなように、HTML, HTTP, URL, Content-Type指定, Plug-inなど、およそ現在のWWWの基本となる技術すべてを包括的にカバーするものであるようです。

「潜水艦特許」とは、米国の特許制度に「出願公告」および「先使用権」が存在しないために、数十年の審査期間を経て突然成立する特許のことであり、その詳細は、以下の引用を見て頂ければと思います。

米国の特許制度は、これ以外にも出願公告と先使用権の有無に関して他の諸国と異なっている。出願公告というのは、出願の一定期間後にかくかくしかじかの特許申請が行なわれている、という事実を世間に対して公開する制度で、無駄な重複投資を防止することを目的としている(略)。一方の先使用権というのは、特許成立以前に(特許になるとは知らずに)それを使用していた人々を保護する制度である。

このところ、米国の発明家レメルソン(略)による自動車のワイパーに関する特許や、計算機制御による自動装置プロセス特許など、20年以上の審査期間を経て突然浮上した「潜水艦特許」が、それを古くから使用してきた企業を一網打尽にするケースが報告されているが、出願公告と先使用権制度があれば、このようなケースを防ぐことができるはずである。

(『カーマーカー特許とソフトウェア』,今野浩著,中公新書1278,73頁より引用)

今回、この特許が米国で成立したことにより、WWWに関連するシステムを商用利用する際には、Rekramrek氏に特許使用料を払う必要が生じる、とのこと(ただし大学などでの学術利用は除く)。

ちなみに、この特許が米国以外でも申請されている/成立しているかどうかは不明です。

さ〜て、こりゃ大変だ。WWWもこれで終わりなのか、なのか?