2023年10月の記事一覧

身体の音が鳴る

(OTOTOY編集後記からの転載です)

耳の状態には人一倍気をつけているつもりですが、どうも最近「血液が流れる」音が聴こえます。「流れる」といっても、ザーッという音ではなく、脈拍に同期してザッザッと鳴るやつ。「耳鳴り」とは明確に違います。普段はバックグラウンド・ノイズに隠れていますが、実は、血液の流れる音・関節が動く音・その他諸々、自分の身体が発する音が耳に入っているのは、知識としても無響室での実体験としても知っています。なのであっても不思議ではないことは理解してはいるのですが…… 部屋が静かすぎるのだろうか(笑)。ちなみに無響室体験はICCをはじめとして何度かありますが、ジョン・ケージの無響室体験の逸話で言われるところの「神経系統の音」がどれのことなのかイマイチ分からないままです。「高いほうの音」らしいのだが。シャーっていう音のこと? 「血液循環の音」は言われてみれば「管のなかを液体が流れる音」っぽい音がするので通常知識からの類推がしやすい一方、「神経系統の音」って “どんな” 音かまるで想像つかないですよね。そもそもなぜそれが神経系が働く音だと分かったのだろうか。人間も音も謎だらけです。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈福岡の4人組バンド。2ndアルバムをリリース!〉、aldo van eyckの “last dance”、他、上白石萌音の “ひかりのあと”、満島ひかりの “I’ll be”、グデイの “サブカルチャー’2013”、Guibaの “” の5曲です。

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私立恵比寿中学〈オケラディスコ2023〉を東京国際フォーラムでみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

すごいものを、すごいチャレンジをみました。毎年恒例の野外コンサート〈ちゅうおん〉に代わり今年行われたのは、フル・オーケストラとバンドをバックにした〈オケラディスコ2023〉。フルオケ+バンドに負けないメンバー10人の強度とスキルが素晴らしい。2階席では会場PAの出音がとても良かったです。“PLAYBACK” や “日進月歩” が良いなあと思ってみていたのですが、メンバーが着座で歌った「しっとり」セクションの “宇宙は砂時計”、“星の数え方”、“まっすぐ” があまりに良すぎました。そしてラストは “感情電車” から “なないろ”。エビ中の過去・現在・未来を総結集した訴求力の結晶のような2曲で。

コンサート・タイトルの “オケラディスコ” はオーケストラとディスコとのこと。途中MCで「ディスコって?」というくだりもありましたが、結局のところ、インスピレーションの基となったであろうIbiza Prom (BBC Promsの一演目として2015年に行われた、クラブミュージックとクラシック音楽の融合をテーマとしたコンサート) を、説明の都合上(?)、オーケストラ×ディスコと再解釈するのが最善と考えたということなのでしょう。EDMでもハウスでもクラブミュージックでもなく、ディスコ。たしかに今回環境下ではそうならざるを得ないか。そういった事情や、(Ibiza Promとは異なり) あくまでもメンバー10人が主役であることの影響は小さくなかったのではと感じました。ともあれその心意気とチャレンジ精神には敬意しかないです。すこし言い過ぎとは思いますが、みていて3月のbjörkを思い起こしました (しかしbjörkのVespertineツアーは2001年なんですよね。あらためて凄いな)。この挑戦とこの結果はもっと多くのひとに知られるべきだと強く思いました。

しかしこんなすごいものをここでやってしまって〈新春大学芸会〉はどうなるのでしょう…… 大きな期待を胸に、来年1月に、また!

【オフィシャルレポ】エビ中、初企画ライヴ〈オケラディスコ2023〉で新しいスタイルのパフォーマンスを披露 – ニュース – OTOTOY

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈11月に1st EP配信リリース決定! 先行はLive Movieが公開され配信が待ち望まれていたこの曲!〉、つきみの “ミッドナイトセブンス”、他、RAYの “火曜日の雨”、NaNoMoRaLの “きせき”、boygeniusの “Black Hole” の4曲です。

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PHONY PPLをduo MUSIC EXCHANGEでみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

PHONY PPLの来日は2019年のFUJI ROCK以来。コロナ前はこういう時間がもっとあったよなぁと、しみじみ。感情はしみじみでも気分は超楽しい。職場から徒歩7分でこれに来れるのは幸せでしかないです。音楽好きとパリピな客層。演奏上手いのにこれ見よがしじゃなくて、そのスキルを楽しませるのに全振りなのが最高でした。細分されたジャンルとかマジ要らないと改めて思わされる時間。いい音楽いいライヴでした。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈むっちゃ良い。ベッドルームっぽさとサウンドの良さが両立していて今の音がする。ついこのあいだまで夏だったはずなんだけどな、とか想う夜にこんなん聴いたら胸がキュッとする〉、Hoach5000の “Spell”、他、luvisの “Dance”、安藤裕子の “金魚鉢”、Holly Humberstoneの “Paint My Bedroom Black” の4曲です。

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羊文学とインナージャーニーをみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

羊文学@Zepp Hanedaとインナージャーニー@1000 CLUB。1000 CLUBは存在は知っていましたが初めて来ました。すごい立地ですね…… すこし早く着いたので吉村家の移転後新店舗を観察しにいきました。行列に並ぶまでの時間はなかったので食べるのはまたいつか。この日はイメトレということで(笑)。

さてライヴ。両者ともにバンドがもともと持つ良さはそのままにスケールの大きさとか周りでサポートできることをやるとか、上手い具合にチームプレイになっていて、とても良いライヴでした。羊文学は12月にニューアルバム、来年4月に横浜アリーナ単独公演。インナージャーニーはこのライヴを最後にドラムのKaitoが脱退。今後の活動についてアナウンスがなかったな……と思ったら、サプライズで週末のMINAMI WHEELからサポート・ドラムを入れて新体制での活動開始。どちらもこれからも観続けていきたいバンドです。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈インディの自由さと素直さと〉、天国姑娘の “Ghost Town”、他、omeme tentenの “Now & Then”、浦小雪の “青と青”、佐藤優介の “反時代ゲーム” の4曲です。

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鼎談

(OTOTOY編集後記からの転載です)

岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」に掲載されている「【鼎談】新全集が示す関孝和像 上野健爾/佐藤賢一/橋本麻里|『関孝和全集』刊行記念」(前編|後編) が無茶苦茶おもしろいです。この鼎談を読むのには数学や和算の知識は必要ありません。お話として普通に読めます。関孝和の自筆の書がひとつも(!)残っていない話、(それそのもの価値とはまた別の要因として) 弟子の有無が後世に残るか否かを左右する話、一般論と個別論に対する日本人の得手不得手、身分制度という大枠に属さない「数学を楽しむ空間」の話等々。ぜんぶが面白いし、現在にも他の領域にも通じる話ばかりです。全集そのものは私は読んでも理解できないものなので、鼎談でも触れられている一般向けの書籍を心待ちにしたいと思います。

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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈リリパ東京編は今週末!〉、すばらしかの “2人は飛び降りた”、他、GIVE ME OWの “Whatever”、PinkPantheressの “Mosquito”、君島大空の “16:28” の4曲です。

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