(OTOTOY編集後記からの転載です)
ビョーク+オーケストラ編成の “orchestral” と、ビョーク+フルート・セプテット+合唱隊+ハープ+パーカッション/ドラムス+マニピュレーター/キーボード+終始投影されるTobias Gremmlerによる映像+数々の舞台装置 (ビョークが中に入って歌うチェンバー・ルームもあり) からなる “cornucopia”。orchestralは普通に「ああ良いものを観た」なのですが、cornucopiaはただひたすらに凄まじかったです。さまざまな経路で視覚と聴覚が刺激される。ライヴというより舞台芸術、舞台芸術というより体験。見たことのない生態系がそこにあり、観ている者たちがその生態系に巻き込まれそうでありつつも、確かな膜で隔てられている。2019年4月の初演からどの程度アップデートされているか分からないのですが、2023年春、“Generative AI” の熱に浮かされている今でこそ、発せられる音と光景の隅から隅までが心に響きました。「ポピュラー音楽」の枠組みからの逸脱を恐れない彼女の音楽を、観る者に訴えかける「なにか」として構築する凄腕、おそるべしです。またcornucopiaは世界各地での公演のたびにさまざまなアップデートとローカライズがされており、その努力を惜しまぬ姿勢にも頭が下がります。ここから何を受け取るかは人それぞれでしょう。個人的には「人は束になって力を合わせ使えるものは何であろうがすべて使って戦え」と受け止めました。「Tabula Rasa」の “You are so strong” というフレーズの繰り返しで終わる本編ラスト。くらうっていうのはこれか、と。凄かったです。
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今週の「OTOTOY NEW RECOMMEND」への推薦曲は、〈アルバムついにリリース! 来日公演を切に切に願います〉、boygeniusの “Satanist”、他、The Bethsの “Watching The Credits”、クラムボンの “ソナタ”、SPRINGMANの “カポック” の4曲です。
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OTOTOYの公式プレイリストに自分が推薦した曲だけを載せた個人プレイリスト、「OTOTOY NEW RECOMMEND-ed by me」も公開中!