2020年07月の記事一覧

幻のままにならないことを願いながら

(OTOTOY編集後記からの転載です)

え?もう編集後記の日?ていうか月曜日? この4連休で週の感覚が完全に破壊されました。で、そもそもなんで4連休だったのかというと……という話は、私どこかに書きましたね。そうです、先週のOTOTOY週替りプレイリスト&コラム、〈OTOTOY EDITOR’S CHOICE Vol.74〉です。OTOTOY編集者が持ち回りで「45秒試聴×10曲+コラム」を選び・綴るこのコーナー。私はローテーションには入っておらず、こういうとき(お休みとか)に出てくる役回りで、2回目の登場です。今回は4連休の原因である幻のオリンピック・パラリンピックにちなんで、来日公演が延期/中止になったアーティストの曲です。なるべく「ちなむ」ようにタイトルや曲の内容も考えて選んでみました。ビリー・アイリッシュの9月公演の延期も今日正式に発表されましたね。選んだ曲がなにげに良い曲ばかりで、延期/中止の無念さが増すばかりのプレイリストです。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈ずぶ濡れの僕らにさしこむ一条の光〉、君島大空の “火傷に雨”、〈導入で驚かされながらも、バンドサウンドが鳴り響きながらも、揺るぎないタグチハナ〉、addの “名のない日” の2曲です。

延期(中止)になったもの

(OTOTOY EDITOR’S CHOICE Vol.74「延期(中止)になったもの」からの転載です)

今日、2020年7月24日は「スポーツの日」で祝日です。「体育の日」の名前が今年から変わり、今年に限り(のはずだったのに) 10月から7月に変更されました。もちろん〈東京2020オリンピック・パラリンピック〉のためです。ほんとうなら今晩8時からオリンピックの開会式。サッカーとソフトボールは今週水曜日からはじまり、今日も朝からアーチェリーとボートの競技が。そして明日から本格的に競技が開始‥‥のはずが、ご存じのとおり(いまのところ)来年に延期へ。結果的になんだかよくわからない連休2日目の金曜日です。

今年はオリンピック・パラリンピックだけではなく多くのことが延期や中止になりました。そこで今週のプレイリストは、来日公演が延期/中止になったアーティストの曲を。個人的にはAmerican Footballと(ここには入れていないけど) DIIVとBen Wattは行きたかったなあ。Bruno Majorも楽しみだったのに。My Chemical Romanceは悩ましかったやつです(東京単独公演があれば……)。そしてBillie Eilish! チケット当たってたのに!! などなどと、まずは9曲。もちろんこれ以外にも来日が叶わなかったアーティストは多数います。こんなにも多様なアーティストたちが常日頃来日していたんだ、なんて私たちは幸せだったのかと、今回調べていて、あらためて思いました。

来日勢だけではなく日本のアーティストたちの公演も数限りなく延期/中止になりました。プレイリストの最後の1曲は、そんな時期に観たたくさんの配信ライヴのなかで最も感銘をうけたカネコアヤノの曲を。7月5日の〈LIVEWIRE〉こけら落としライヴの完成度も素晴らしかったのですが、なにより、3月15日の生配信ライヴの「状況に対する静かなる怒り」のようなものに満ちた歌は、強く印象に残っています。

この状況に対する答はまだないです。でも、わたしたちが思慮と工夫を重ね、すこしずつ動いていくしかありません。どのようなかたちであれ、またライヴとともにある日々に向かって。

(プレイリストのSpotify版はこちらです)

エール

(OTOTOY編集後記からの転載です)

8月から人数を限定しながら観客を入れての営業再開を予定していたライヴハウスもいくつかあるなか、検査陽性者数が増加に転じ、また戸惑いがひろがりつつあります。そんななか、ライヴハウス下北沢近松・代表、〈下北沢にて〉実行委員長、そしてTHEラブ人間のツネ・モリサワさんにインタヴューをおこないました。具体的な感染対策や、やはり「野外」が希望というお話、そして“新しい”ビール🍺のことなど(早く飲んでみたい!)、モリサワさんならではの複眼的視点からのお話がきけたのではないかと思います。よろしければぜひご一読を。

この記事は〈下北沢にて〉が主宰するライヴハウス18店舗を支援するクラウドファンディング〈シモキタエール〉への応援の気持ちも密かにこめつつ、だったのですが、こちらのクラウドファンディングは土曜日に無事目標額を達成し終了したとのことです。なにより、ではありますが、すべてはこれから。これからもOTOTOYはさまざまなかたちで音楽と音楽にかかわる方々にエールを送っていこうと思っています。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈ベッドルーム・ポップの先にごく薄く覗くグランジの霞がたまらなく魅力的〉、renforshortの “fuck, i luv my friends”、〈“ディスタンシング”な昨今、すぐそばに寄り添うようなヴォーカルが懐かしく、愛おしい〉、I’mの “サマータイムラブ”、〈福岡出身の女性シンガーCalli Stephus、週末CITY PLAY BOYZが全面バックアップのEPから〉、Calli Stephusの “NEW BEST FRIENDS” の3曲です。

I’m、良いですね。アーティスト名が「I’m」。このインターネット時代に、それはまた大変な(笑)。トラックタイトルが「サマータイムラブ」。あまり検索性改善の助けにはならないような、と思ったら、そんなには無いんですね。でも、なんだかんだといってこの曲に巡り会える。それも良い、ですね。ちなみにうちは検索、けっこういけます(笑)。→ https://ototoy.jp/find/?q=I%27m

……とか書いたらご本人からレスいただきました。恐縮です。

renforshortは先週のMoscow Apartmentに続いて、またトロントの18歳。なんなのトロント…

フューチャー

(OTOTOY編集後記からの転載です)

相変わらず「被り」問題が切ない配信ライヴ。アーカイヴの有無が事前に分かると嬉しいのですが、そうするとアーカイヴ有りのものがリアルタイム視聴ではなく後回しになってしまうという、矛盾。悩ましい。先週は高井息吹 with 君島大空とシバノソウの配信ライヴがとても良かったです。そして黒子首を見逃した。痛恨。

プレイリストに推薦したMoscow Apartment、2nd EPの『Better Daughter』がめっちゃ良いです。カナダ・トロントのインディー・フォーク・ロック・デュオ。17才と18才ということであってるの?(まじか)。歌詞をちゃんと聴かないといけないやつですね。残念ながらOTOTOYにはないです。ぜひまずはサブスクで、そしてお気に召したらbandcampでいかがでしょうか。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈ex-空気公団の窪田渡が作詞・作曲・編曲・演奏・ミックス、さらにヴォーカルまでひとりで行ったソロ第1作から〉、窪田渡の “薔薇と炭酸”、〈カナダ・トロントのインディー・フォーク・ロック・デュオ、Moscow Apartmentの2nd EPから〉、Moscow Apartment “18” の2曲です。

マスクをする意味

(OTOTOY編集後記からの転載+αです)

マスクを着用することの意味が、半年前からはもちろん、この1〜2ヶ月で大きく変わりました。もともと日本で健康な人がやたらと街中で着けていたマスクは、自らをなにか(花粉や視線)から守るためのものでした。その一方で最近の研究や先月のWHOの発表は、発症前や無症候を含む一見健康な感染者が他人に感染させることを防ぐという意味をマスクに付け加えました(従来から“咳エチケット”におけるマスクの意味はそうでしたが。ところでこういう謎の日本語ほんとになんとかならないのだろうか)。つまり多くのマスクは、自分のためにするものから他人のためにするものに変わったのです。こうなったとたん一部のビジネス等のシーンで言われていたような「マスクをしたままでは失礼」といった“謎マナー”も吹き飛んでしまうのです(もちろん本来の公衆衛生上の理由は大きいが)。マスクをする/しないという行為は見かけ上なにひとつ変わらない。なのにいつの間にかその意味が変わってしまう。見えない変化もこわいですが、見える不変はもっとこわい。そんなことは他にもたくさんあるのでしょう。こわい。

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OTOTOYの編集後記、月曜日にいきなり書こうとすると前の週になに気にしてたか思いだすのたいへんなので、前々回からfacebookに公開下書きを書くようにしてみた。これがすごくよい。で、今回分も下書きをしたら、めずらしく反応があったので、それらを参考に改変したのが↑のバージョン。改変するとぼやけるのは実力不足ですね。まだまだだな。

という訳で以下がオリジナル?版です。ていうかこれだと長いんだよな(笑)。

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マスクを着用することの意味が、半年前からはもちろん、この1〜2ヶ月で大きく変わりました。もともと日本で健康な人がやたらと街中で着けていたマスクは、自らをなにか(花粉や視線)から守るためのものでした。その一方で最近の研究や先月のWHOの発表は、発症前や無症候を含む一見健康な感染者が他人に感染させることを防ぐという意味をマスクに付け加えました(従来から“咳エチケット”におけるマスクの意味はそうでしたが。ところでこういう謎の日本語ほんとになんとかならないのだろうか)。つまり多くのマスクは、自分のためにするものから他人のためにするものに変わったのです。これまで「自分ごと」だったマスクをするしないが今は「他人に移すことを気にしているか否か」になりました。後者は敢えて強めに言いかえれば「加害の意思」の有無です。こうなるともはやマスクなしで街中に出るわけにはいきません。もちろん自分ごとから他人への態度への変化には良い面もあり、例えば一部のビジネス等のシーンで言われていたような「マスクをしたままでは失礼」といった“謎マナー”は吹き飛びました(もちろん本来の公衆衛生上の理由は大きいが)。マスクをする/しないという行為は見かけ上なにひとつ変わらない。なのにいつの間にかその意味が変わってしまう。見えない変化もこわいですが、見える不変はもっとこわい。そんなことは他にもたくさんあるのでしょう。こわい。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈バンド結成20周年10作目での新境地。研ぎ澄まされたサウンドを〉、おとぎ話の “AGE”、〈CHAIが歌う人生や生活はなんでこんなにしみるんだろう〉、 CHAI “keep on rocking” の2曲です。

CHAIはやっぱりいい。SYNCHRONICITY2020 ONLINE FESTIVALのライブ。こうきたか。かっこいい…

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ということで週末観た配信ライブ。

SYNCHRONICITY2020 ONLINE FESTIVAL。羊文学、いきなりイントロ最高。笹川真生、いいわー、バンド・アンサンブル良かったです。Shiki、すごいスケールが大きくなってる…。tricot、さすがです。CHAI、前述。TENDOUJI、セトリ「急に変えないでよ」っていうのはあれ素だったのかな(笑)。そして、ステレオガール!!!、かっけー。

四星球の「動け四星球」ツアー初日@アスティ徳島。四星球はやっぱり四星球だ。ほんとに心底、伊達じゃない。1回目のクラーク博士と僕の頭で泣きそうになったわ。でもちょっとメタ記述すぎたかなという感も実はある。クラーク博士と僕であのまま行ってしまうのが観たかったという気持ちがやはりどこかに。かつてKjが四星球に最近「カッコよくなってちゃってるから危ない」と言ってたけど、最近「危ない」くらいに頭が回り過ぎてる説は、ある。

ラスボスは、カネコアヤノ @ LIVEWIRE。最高。かっこいい。最高。それ以外に何が言えるんだろう。すごいロングセットをみたような気分に。実際のライブでも、こういう、それこそ息をするのを忘れるくらいの集中力で観るライブっていうのがあるんだよ。の件をまた改めて思った。この話はとある理由でげんなりしてたのだけど、四星球が「視点」をくれたので来週書こう。