2020年12月の記事一覧

東京ガーデンシアターで私立恵比寿中学をみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

東京ガーデンシアターは本当なら6月に小沢健二で行っていたはずの新しいホール。今回はじめて行きましたが、とてもよいホールでした。音よし箱よし周辺環境よし。個人的にはほぼ満点です(アクセス面がマイナスと思う人もいるだろうことはわかる)。もうみんなここでやってほしい。そして私がSTAY HOME期にもっとも新規どハマりしたのが、私立恵比寿中学でした。思いかえせば“感情電車”のMVをみたとき、“自由へ道連れ”のMVをみたとき、あのとき素直に行っていればよかったんだという後悔。今年1月に偶然“若者のすべて”のカバーを聴いたとき、これはもう絶対にライヴに行かなければと思ったにもかかわらず、その後はこんな状況に。ようやく来れました。はじめてみた「大学芸会」は、メンバーの技術の高さと気合い、新しいバンドの上手さと一体感、ロジカルにも感情的にも考え抜かれた演出・構成、チームとしての志の高さ、どれもが抜群でした。コンサート/ライヴをやることや行くことの素晴らしさのすべてがそこにある、そんな時間と空間。これをどう表現すればよいか考えていたら、この言葉が浮かびました。「強い気持ち・強い愛」。それだ。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈平賀さち枝がコーラスで、直枝政広がギター・コーラスで参加した、メロウでエモーショナルなナンバーを〉、曽我部恵一の “Yeah Yeah” 、〈来月リリースのアルバムへの期待が高まる先行配信曲。きっとそこにすべてがあるだろう〉、NOT WONKの “slow burning” の2曲です。

yuigot + 長谷川白紙の音がするも候補だったのだけどまた他の人に先に出されました。

柔軟さと強さ

(OTOTOY編集後記からの転載です)

ライヴの楽しみ方には実はいろいろな流派があります。たとえば、声を上げて盛り上がるだけがライヴではなく、会場みな一言も発せず身じろぎもせず全集中力をステージに向ける、そんなライヴもたくさんあります。それは決して静かな音楽だからではなく、力強いビートと轟音に対してそういう臨みかたをする。もちろんそれは「盛り上がっていない」のではまったくありません。「アンコール」にも、声だけ型、声と手拍子型、手拍子だけ型(リズムキープ派と速くなる派があったりする)と、これもさまざまなパターンが。先週行ったとあるライヴが予想外にアンコールなしの演出構成だったのは、そこが普段「声あり型」の現場だったからかな、とふと思ったりしました。気をつかったりフラストレーションを感じたりさせるくらいなら、そんなのは不要に、本編できっちりケリをつけてやろうぜ、と。そんな一事が万事、作り手の思考の深さと意志の強さに満ちたライヴをみると心からの幸福を感じます。ほんとうにありがとう。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈音楽の大地に立つ生身の人間の尊さ、展開力にあふれた一曲〉、THEティバの “Go back our home” 、〈初の全国流通フル・アルバムから、より感情が揺さぶられる再録ヴァージョンを〉、Cody・Lee(李)の “drizzle(2020)” 、〈Eupholksのコラボプロジェクト第一弾。顔を上げ前に進みたくなるインディー・フォーク〉、Eupholks, Charlotte is Mineの “Flaw In The Design” の3曲です。

Zepp Tokyoでリーガルリリーをみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

ついにZeppワンマンに到達したリーガルリリー。感慨深い。欲をいえばスタンディングでフルに入っている光景をみたかったけど。でも、ここにとどまらずにもっと大きな会場に立つ3人が想像できる、そんなライヴでした。かつてのリーガルリリーのライヴハウス時代、よく上手前方で踊っていたお客さんがいたのが今でも印象に残っています。先週Zeppの22列目くらいで右手を挙げて踊っていた人は同じ人だったのかな。この日も上手側でしたね。抽選なのに。エモい。先週公開されたソウル・フラワー・ユニオンのインタヴューで中川敬さんが言っていました。「ミュージシャンはすぐ「やっぱりライヴは生だよね〜」とかいうけど、そんな当たり前のことを言うなや(笑)!」、と。当たり前だけど、世の中、当たり前のことを言う人の方が多いし声も大きい。手を挙げて踊るという当たり前を取り戻した人もいれば、声を上げるという当たり前をまだ手にできない人もいる。それはどちらの楽しみ方が正しいとかそういうことではないです。それぞれのやり方で「当たり前」を乗り越えよう。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈大名曲。〉、Superfriendsの “Million miles apart” と、〈着想と良メロと切なさが同居する眉村ちあきの真骨頂。元、“さかなのうた”。〉、眉村ちあきの “マーメイドボーイ” の2曲です。

SACOYANSをみた

(OTOTOY編集後記からの転載です)

日曜日、SACOYANSのライヴをみてきました。むっちゃカッコいい。もし今年がこんな年じゃなかったとしても確実に2020年の記録に残る、そんなライヴでした。綺麗な音で正しく音がデカい。そのなかで色濃く立ち上がるSACOYANのヴォーカル。すばらしい。事前に想像していたよりもずっとバンド感がありました(これは私の勉強不足が原因)。こんな状況で2020年に東京でみられるとは思ってなかった。呼んでくれたひと、来てくれたバンドに、感謝しかないです。そしてもうひとつ先週といえば、THEティバの新作MV「Go back our home」。この両者、何かが重なるなと思っていたのですが、それは荒涼とした音楽の大地に立つ生身の人間の尊さなのかもしれません。その存在に感謝したいです。

(これは昨日のじゃない別の日のライヴだけど。1:03:15〜)



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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈より自由さを増した2ndフルアルバムから、瑞々しさをたたえたこの曲を〉、Charlotte is Mineの “群青” と、〈冬、すこしだけ暖かい日、街を歩く。そんな一曲〉、松木美定の “おぼろの向こう” の2曲です。

トーキョーベートーヴェン+モトーラ世理奈の青春のリグレット (feat. モトーラ世理奈)も候補だったのだけど他の人に先に出されました(笑)。