なんだか分からないけど,ホンダのU3-Xって,劣情を催し(?)ますよね.見ると何かひとこと言わずにはいられなくなる.「これ一輪でどうなってるの???」的な直接的疑問から,「ホンダ(日本)すげえ!」あるいは「結局セグウェイ(欧米)のパクリ改良かよ」みたいなメタ言辞まで,それはもういろいろと.(長尾先生のブログも突然再開してるし)

ということで,私もひとこと.

ホンダとかトヨタの一連の(次世代?)モビリティものを見ると,そこから未来が見えるよう,ちゃんと考えられているよなあ,っていつも思う.

つまり,

  • このようなモビリティが将来,社会で必要とされること
  • その要請に応えることが産業として成立すること (たぶんこれが一番重要)
  • その産業の中で自らが主要なポジションを占めるという強い意志を示し,それを裏付けるもの(技術)を作ること
  • 上記三つをステークホルダーに納得させるプレゼンテーション/デモンストレーション

が,きちんと揃っている,と.

この中で一番重要なのは,単にその会社のその技術(製品)が売れたり普及したりということではなく,一企業に収まらない産業としてそれが成立する情景を示すことだ.ゴールが"EXIT"であるようなスタートアップ(おそらくは,面白かったり尖っていたりオンリーワンであったりすることが重要視される)と,大きな会社が未来を語るときの,最も大きな違うべき点はそこだろう.

ある製品/サービスを普及させるという話だと,当人以外は全員顧客候補となる訳で,そこから寄せられる感想は「幾らなの?タダなの? 発売/サービス開始はいつなの? でそれであんた儲かるの?(一部VC目線)」でしかあり得ない.一方,産業が創生されるのであれば,自らもプレイヤーの一部だという視点での「俺も儲かるの? 俺に何ができるの? じゃ何しようかな?」という注目を集めることができる.つまりは,ビジネス像じゃなくてエコシステム像を言うべき,ってこと.

上の話の「モビリティ」を「コンピュテーション」に置き換えた場合,Google, Amazon, Apple, 半周後れて Microsoft, Yahooあたりが,いま,クラウド的な何かを示すときも,やはりこの構成をしっかりと抑えているように思う.

では対象を「コミュニケーション」にするとどうなるか.残念ながら,すっきりとした話をここ最近聞いたことがない.おそらく何かがどこかで捻れている.

「メディア」??? まず一旦バラして…の真っ最中なので,次の画を描くのは,もう少し先なのか.

このように未来を見せることに,奇をてらったことは何一つ必要ない.使うのは,ニーズ,ビジョン,ミッション・ステートメント,コア・コンピタンス,といった伝統的手法で充分(というかそれが正道).あとは,いかに考えずに,いかに考えるか,ということに尽きる.しがらみとか過去の経緯とか先入観とかの余計なことを考えずに,多様に深く何手先までも考え尽くす.ほんとうは皆それを分かっているんだと信じたいけれども,なかなかねえ…

もちろん,きれいに描けていることと,それが将来現実のものとなることは全く別であり,実際に何がどうなるかなんて誰にも分からない.でも,それでもちゃんと描きたいし作りたいよね.

以上,友人達からの私信の返事に代えて.