(「OTOTOY各スタッフがそれぞれ選んだ2020年の10作品」からの転載です)

■2020年の10作品■

■作品以外のインターネット上のベスト音楽コンテンツ■

安本彩花 “スーパーヒーロー” : 安本彩花 (私立恵比寿中学) のソロコンサート (配信あり) で歌われた本人作詞作曲のオリジナル楽曲 (YouTubeに公式映像あります)。システムとしてのアイドルではなく、職業・アイドル、22歳、人間・安本彩花の内面から湧き出た「ブルース」。10月の披露時点では、世情と本人の情況、これからの有り様に対するアイドルとしての見事な解答だと思いました。が、その後の彼女自身の病気休養の発表で受け取る側の意味が大きく変わってしまった。でもほんとうに良い曲です。

■音楽作品以外のベスト一作■

Zoom : 私はソフトウェア・エンジニアでもあるので昨年のベスト・プロダクト/サービスを。2020年といえば「Zoom」でしょう。ちょうど良い出来の良さ、昨年状況下での機敏な対応など称賛に値すること多数。OTOTOYでも日々の業務はもちろんオンライン・インストア特典会やオトトイの学校でたくさん使っています。

■コメント■

2020年のパーソナル・チョイスは、アルバム/EPを邦洋から8枚、シングルは代表して邦洋1枚ずつ。やっぱりギターが鳴るロックのフォーマットがポップと手を取りあう瞬間が好きなんですよね。自分のルーツは確かにそこにある。ロックが大衆音楽の主流となって以来はじめてロックが主流ではない時代を迎えていると言われています。そんな20年代に鳴らすべき「ロック」を鳴らしているものから、インディペンデントの作品を中心に選びました。アプローチはそれぞれ違えど突破しようという強さがあるものを。いったんは既成概念から自由に、狙いを定めたら強さをもって。前をみて、DIY精神を忘れずに、です。そしてもう一点。やはり2020年はTHE 1975の『NOACF』の年だったのだと思います。いまは収録曲 “The Birthday Party” かのごとく遠い別世界のように感じられるとしても。『NOACF』に込められた、多様で・種々雑多であることの価値、なにひとつ諦めてはいけないというメッセージ。先に挙げた強さもそれも、この2020-21年、すべてに共通して必要なことだから。

■2021年に向けて■

昨年この欄でOTOTOYの2020年の目標を掲げたのですが、1年が経ち、まだ実現できていないことがたくさんあります。それは昨年の春以降やるべきことを、活動のオンライン化や支援の仕組みづくりにシフトしたからです。というわけで今年こそは、取り扱いレーベルを増やす (増えます!)、ひとりひとりの音楽生活に適応するサービスへの進化、俯瞰視点とエッジとを併せ持つ記事の展開など、皆さまにチャンスと驚きをもたらすサービスとなれるよう、前進していきます。個人的には新しい音楽の楽しみ方により多く出会いたい。ちなみに年頭時点で期待が高まりまくっているのは、Arlo ParksとNOT WONKのアルバムです。今年もよろしくお願いします!

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OTOTOY 2020 スタッフズ・チョイスに選んだ作品+α。考えるときに作業用に使っていたSpotifyプレイリストをそのまま公開しています。セレクトの収拾がつかずいっそのことと (日本基準での) メジャー作品をぜんぶ外したら一挙に見晴らしがよくなり……という経緯も。その外したものやその他もここには入っています。