(OTOTOY EDITOR’S CHOICE Vol.45「20年代の希望、ここにあります」からの転載です)

あけましておめでとうございます。
今年もOTOTOYをよろしくお願いいたします。

さて年は明けてしまいましたが、本日のOTOTOY EDITOR’S CHOICEも、2019年のリリースから。

たった10曲だなんて、選ぶのは本当に難しいし苦痛ですらある。 それでも、OTOTOYで配信されていない作品は除き(今年は取り扱いレーベルの拡大をがんばります!)、 当初配信されていたのに諸事情で配信されなくなってしまった作品を除き(ダウンロード済みのものはもちろん聴けるのですが)、 試聴だけだと良さが伝わりにくいものを泣く泣く外し、バランスを考え……  そしてなにより、2019年に実際にライヴを観てこれは間違いない!と言える素晴らしいライヴをしているアーティスト達から、10曲を選びました。

会場の大小はあれど、みな本当に良いライヴをしているアーティストばかりです。 一番大きな会場は8月のyonigeの日本武道館。 春頃から武道館に向けて研ぎ澄まされていった“平熱”が、特別な出来事としてではなく、ストイックに、純粋に、存分に美しく表現された、とても素晴らしいライヴでした。 yonigeの武道館公演でもうひとつ印象的だったのは、アリーナ後ろの壁際でライヴを観ていた、多くの同世代のバンドマン達の姿です。 そこには勇気と希望がありました。きっとあそこからあのステージの上に立つ人があらわれるでしょう。

地理的な活動の拡がりという点では、まさに今、リーガルリリーがChinese Footballとともに中国4都市ツアー(武漢・深圳・北京・上海)を巡っている最中です。 本日1月3日は北京での公演。 また、For Tracy Hydeは昨年9月に台北・シンガポール・マニラ・ジャカルタの4都市でのアジアツアーを熱狂のうちに終え、 さらに今月はバンコクでの公演を行う予定です。 日本国内でのアジア音楽シーンへの注目度の高まり、盛んになるアーティスト間の交流など、 インディー・ロック・シーンにおける東アジアというリージョンの意味が、より大きなものとなる予感がします。

2019年を個人的に総括すると、単に“年間ベスト云々”に留まらない、通常なら年にひとつあるかないかという“事件級”のリリース+ライヴが3つもあった年でした。 そのひとつがNOT WONKの『Down the Valley』と、WWW Xでのリリースツアー公演。 もうひとつが君島大空の『午後の反射光』と、君島大空合奏形態での“夜会”公演(下北沢THREE、WWW)でした。 いずれも、リリース作品には格段の格好良さ・新しさ・強度が、 ライヴには驚きに満ちた音の力と最高のバンドアンサンブルがあり、 彼らの音楽の素晴らしさとその延長線上にある未来をこれでもかと見せつけられました。

ここで取り上げた10組のアーティスト。 長い活動歴を持つ人も多いのですが、それでも驚くほど、みな若い。 彼/彼女らがいるなら、今年は……どころか2020年代の日本の音楽シーンは間違いなく面白いものになる。 そう確信できる10組の10曲です。

今年もそして20年代も素敵な音楽生活が送れそうです。 OTOTOYもそんな音楽がある日常の一助となれるよう、前進していきます。

あらためまして、2020年もよろしくお願いします!

(プレイリストのSpotify版はこちらです)