2020年の記事一覧

there must be light

(OTOTOY編集後記からの転載です)

某野外、某ホールに続いて、この土日に7ヶ月ぶりのライヴハウスへ。土曜日はシバノソウとthat’s all folks。シバノソウの『あこがれ』はこの夏いちばん聴いたアルバムなので当然の帰結か。そして日曜日はナツノムジナとOs Ossos。土曜日は着席、日曜日はスタンディング。人数制限+ディスタンスではあるけど、よくある「空いてる日」だと思えば前と変わらない、戻ってきた感がありました。(話はそれるけど個人的にはライヴハウスはパンパンに入れないほうがいいんじゃね派です。気軽にドリンク買いに行って戻ってこれるくらいがちょうどいいと思ってます。)4アーティストとも皆、美しく・カッコよく・とっても良かったです。ただいま戻りました。

……という文を今週は載せる予定だったのだけど、いまは、今日の報せに打ちのめされています。なんだよそれ。音楽はまだ聴けていません。ごめん。でも、ありがとう。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈家主のフロントマン、田中ヤコブが放つ大傑作ポップス・アルバム『おさきにどうぞ』から1曲〉、田中ヤコブの “小舟” と、〈福岡拠点のDeep Sea Diving ClubがBeacon LABELからデジタル・シングルをリリース。今日みたいな夜に〉、Deep Sea Diving Clubの “cinematiclove” の2曲です。

ソロコン

(OTOTOY編集後記からの転載です)

私立恵比寿中学、安本彩花のソロライヴを観て胸を打たれました。ア・カペラで歌われた“ジャンプ”は事件級。たったひとりでこの静寂を支配できる歌い手はそうそういない。「人生じゃつまらない」の部分のヴォーカルの卓抜さや、「心臓の」の真正面からぶち当たる表現と「今だ」の告白するかの表現の両立っぷり。続いて歌われたセットリスト中唯一のカバー曲が岡崎体育の“エクレア”という、なにひとつ間違いのない選択。一番の衝撃だった安本彩花自作の新曲“スーパーヒーロー”は、システムとしてのアイドルではなく、職業・アイドル、22歳、人間・安本彩花の内面から湧き出た「ブルース」でした。同時にこの曲は、システムから生まれた楽曲への、とりまく大人たちへの、共に歩むファンたちへのアンサーソングでもあり。グループの既存楽曲と同じタイトルである必然性がそこに。笑顔で客席に目線をやり観客を指差しながら「あなたが〜」「いい人と〜」「君の〜」と歌う。自ら立つステージを指差し「この場所で待ってるから」と歌う。情況と有り様に対するアイドルとしての回答。参りました。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈aikoからしか生まれないメロディと歌詞と歌唱、以外なんて言えばいいの〉、aikoの “ハニーメモリー”と、〈音楽の魔法に何十年でも化かされていたい〉、ビッケブランカ VS 岡崎体育の “化かしHOUR NIGHT” の2曲です。

aiko / ハニーメモリーへの一言コメントはコメントを放棄してますね。すみません…… ビッケブランカ VS 岡崎体育はぜひMVをみてほしい。これで泣けてきちゃうから世情に弱りすぎだな俺(笑)。


new normal, new thinking

(OTOTOY編集後記からの転載です)

ニュースにも書いた代田・下北沢〈BONUS TRACK〉でのイベントを覗きに日曜日は下北沢へ。街はとても賑わっていて、開催中のカレーフェスティバルも盛況そうでした。街行く人々のほとんどはマスク着用ですが、「距離」のとりかたはだいぶ以前に戻りつつあります。個人的には9月に半年以上ぶりの1000人超規模のイベントに行ったのですが、2週間が経過してクラスター発生等の報はなく、安堵しています。関係者の方々は当日以降も心休まらない日々だったのではと思います。スマホの通知が鳴るたびに心臓が痛くなるような。ほんとうにお疲れさまでした。いまの世界は一見戻ったようで実は新しい世界のはず。この賑わいが眼前にあるからこそ、「かつての思考」から自由にありたいと、街をみていて改めて思いました。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈トロントのインディーロックバンドKiwi Jr.がSub Popと契約し新曲をリリース。タイトルは “Undecided Voters (浮動票)”〉、Kiwi Jr.の “Undecided Voters” です。

“Whenever You Call” / 嵐

(OTOTOY編集後記からの転載です)

語ることはとても難しいけれど、でも、避けちゃいけないんと思うんですよね。嵐の“Whenever You Call”。Bruno Mars & D’Mile、作・プロデュース。良い曲です。間違いなくグローバルなレベルにある。このタイミングだからこそ制作できた楽曲、という言葉が良い意味でも悪い意味でもかけられる。聴いていてとても気持ち良いと同時に、メタなレベルですごくモヤモヤとした感情をもたらす楽曲。日に日に増えていくYouTubeの英語やその他日本語以外のコメントが、希望であり、かつ後進への重い課題でもある。ていうかこれ、語るのを避けてる文章だな(笑)。ともあれ、リピして聴きます。そして、OTOTOYに音源無くて申し訳ないです。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈「何かいい感じ」がちょっと足りない今の暮らし、もっと外に出たいよね〉、Okayukaの “何言ってるか分かんないけど何かいい感じ” と、〈川谷絵音のタレントと中嶋イッキュウのニュアンスに包まれる〉、ジェニーハイの “まるで幸せ (2020 MIX)” の2曲です。

ジェニーハイは昨年のアルバム版と較べ、強いミックス&マスタリングになって再リリース。川谷絵音の音楽生成能力は異次元すぎるし、歌う中嶋イッキュウ(tricot)が素晴らしすぎます。

バーチャルなアイドルたち

(OTOTOY編集後記からの転載です)

今年はオンライン開催となったTIF (TOKYO IDOL FESTIVAL)。オンラインであることを活かし「バーチャルなアイドルたち」が出演する〈バーチャルTIF〉企画を開催、との話に感心していたら、その<バーチャルTIF>をbilibiliで有料配信するという発表が先日あり、さらに感心することしきりです。いまはまだ“VTuber”などと呼ばれることの多い“彼女”たちですが、いよいよプラットフォームを超える存在となり、その呼び方も変わっていくのでしょうか。そんな“VTuber”たちの音源をOTOTOYではロスレス・ハイレゾで配信中です。気になる方はぜひこちらのタグをチェック! → https://ototoy.jp/tags/VTuber

(今週はちょっと業務っぽい、笑)

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈かっこいいロックと至高のポップが同居する3rdアルバムから悩みに悩んでこの1曲を〉、ラブリーサマーちゃんの “豆台風” です。

ちなみに悩みに悩んだもう1曲は“ヒーローズをうたって”。既発シングル曲と先行リリース曲を外してこの2曲が残り、真っ直ぐをとるか、ズレの気持ちよさをとるか、という選択に。まじ、ラブサマちゃんさん、おそるべし。

大きな一歩

(OTOTOY編集後記からの転載です)

8月末に大阪・泉大津フェニックスで開催された野外フェス〈RUSH BALL 2020〉。今日、主催者から「実施から2週間が過ぎ、開催地においてクラスターもなく、全参加者登録の大阪コロナ追跡システムによる関係機関からの連絡はありませんでした」という報告がTwitterでありました。屋外イベントのガイドラインをみずから作り上げながらフェスを実現させた主催・運営・関係者の方々に心からの称賛と感謝を贈りたいです。またそれを共に作り上げた参加者の皆さんにも大きな称賛を(そしておそらくは久しぶりのライヴを存分に楽しんだ皆さんに「イイナー」という正直な気持ちも)。我々もそろそろ一歩踏み出そう。小さくてもよいから、一歩を。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈叙情あふれる歌、絶品のギター〉、田中ヤコブの “THE FOG”と、〈日々の暮らしとともにあった現実の脆さ・儚さを美しさに昇華したかの1曲〉、SPOOLの “スーサイド・ガール” の2曲です。

「untie」

(OTOTOY編集後記からの転載です)

日曜日にsora tob sakanaのラスト・ワンマン・ライヴ「unite」を配信でみました。現地会場のあり方も、配信もライヴ・ヴューイングもクラウド・ファンディングも、今の制約下において出来得るかぎり良いことを追求する姿勢にあふれたライヴでした。4時間50曲におよぶステージの最後の曲、“unite”を歌い終えた3人の笑顔、互いに交わし合う視線、寺口さんの口元に見える「ありがとう」。神﨑さんのクシャッとした笑顔、スモーク、落ちる照明、そのタイミングの完璧さ。カメラワークと奏でられるギターの音も含めたその配信映像には、この上ない美しさがありました。素晴らしいステージを、そしてこれまでの活動、ありがとうございました。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈プロデューサー・Chocoholic、自身の新作は自らの心情の向き合ったエモーショナル・ナンバー〉、Chocoholicの “Falling Into History”と、〈軽やかなヴォーカル。思わず身体が動いてしまう幸福なリズム。来たるミニアルバムからのリードトラック〉、DENIMSの “I’m” の2曲です。

伝えあう、オンライン

(OTOTOY編集後記からの転載です)

オンライン・ストアがやるインストア・イベント〈OTOTOY ONLINE IN-STORE〉。6回目まで終えましたが、ここまで、YouTubeを使ってのインストア・ライヴ、公開インタヴュー、アーティスト・トークイベント、アーティストが映像を見ながらトークする回、そしてZoomを使っての、個別特典会、グループ特典会、オンライン・サイン会と、さまざまなパターンをやってきました。それぞれの形態ごとに適切な映像・音声の繋ぎ込み方が異なり、とてもおもしろい(担当は胃が痛い)です。そしてすべてにおいて面白さの鍵となるのが視聴者とのインタラクションの部分をどう作るか。オンライン=一方向みたいな誤解は払拭していきたいですね。そんなOTOTOY ONLINE IN-STORE、今週水曜日は井出ちよの(3776)のインストア・ライヴです。お楽しみに!

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈Daniel Johnstonカバーのライヴ音源。ストリングスが加わり、より優しいサウンドで。〉、Homecomingsの “Living Life (Live at Tokyo Kinema Club)” です。

予定が立たない

(OTOTOY編集後記からの転載です)

先週末のRISING SUN、この週末のFUJI ROCK、そして個々のアーティストのライヴ等々と、配信が山盛りすぎて完全に破綻しています。ていうか、もう諦めた。配信ライヴのチケット購入も、うっかりメモとか残さずに買っていたので、たぶん観ないうちにアーカイヴも終わってしまったやつとかもあるに違いない(泣)。そして今週末。なんかたくさんあったはずなのだけど…… あ、いや、そうだ、colormalのワンマン配信ライヴだ。彼の初のワンマン公演、まさに『メルクマール』(colormalファースト・アルバムのタイトルでもあります)な一夜となるでしょう。楽しみです。そして実ライヴ。結局3月11日を最後に、まだ行ってないんですよね。こうなると再開一発目になにを観るかに意味を持たせたくなりつつあり、これはマズいやつだ。どうしよう。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈夏の終わり、雨の湿度が恋しくなるジャジィな1曲〉、碧海祐人の “秋霖”、〈CHAI×HINDS、日本×スペイン、(自然体+DIY+野心+自信)²〉、CHAI, HINDSの “UNITED GIRLS ROCK‘N’ROLL CLUB” の2曲です。(“23回目のサマーナイト” は担当に削られました、笑)

そして、ここのところ毎週編集後記を書いていたおかげでここも更新が続いていたのですが、ついに先週は飛ばしてしまい……くそー。ということで先週の推薦曲は、〈No Buses近藤大彗のソロ・プロジェクトがスタート! エッジ感と親しみやすさのバランスが心地よい〉、Cwondoの “Too Hard” でした。

ディスプレイ越しに向き合うサマーナイト

(OTOTOY編集後記からの転載です)

映像が強力すぎて曲が頭に入らないと評判の私立恵比寿中学の新しいMV、「23回目のサマーナイト」。たしかにこれはまったく曲が頭に入らない(笑)。勝手な想像ですが、このMVは「接触イベントができない世界へのひとつの回答」なのかもしれません。“メンバー発案による、メンバー各々が夢想” する表現により、単なる「イメージ・デートムービー」以上にパーソナルに向き合える演出となっています。

ところで、OTOTOYにはそれぞれのジャンルを表すアイコンがあります。

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このアイコンをデザイナーさんに作ってもらったとき、唯一モチーフで悩んだジャンルが「アイドル」でした。今のアイドルの本質は見えるもの/聴こえるものを愛でることにあるのか、それとも精神的/物理的な繋がりの存在にあるのか。結局後者を選んだのですが、このMVは見事に両者を兼ね備えたものになっていますね。素敵だ。この曲も収録されている配信限定EP『FAMIEN’20 e.p.』は8月21日リリース予定です。さて、後記も書き終わったので、もう一回、▶️。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈溶け切る直前の氷のようなギターリフとヴォーカリゼイション。暁まではまだ少し〉、NEHANNの “Ending Song”、〈少しでも美しくありたい。光射す意思を見るかような優しく美しい歌とサウンド〉、木下百花の “少しだけ、美しく” の2曲です。