2021年07月の記事一覧

私は私だけじゃない

(OTOTOY編集後記からの転載です)

「ベッドルーム・ポップ」とも呼ばれるタイプのアーティストの作品が、昨年後半あたりから変化しているうように感じます。よりクリアに、そして確信のある音楽へと。ひとつの仮説は、昨年春以降“ベッドルーム”がほぼすべてのアーティストにとって「そこがリアル」の場所になってしまったことで(たとえが卑近すぎますが我々レベルですら“自宅”が仕事や学校のリアルの場になってしまったのと同じく)、もともと「そこ」にいた彼・彼女たちが確信と自信を持って前に進めるようになったのでは、というもの。先週末公開のOTOTOY EDITOR’S CHOICEでは、そんな楽曲を集めたプレイリストを作成しました。優しくも力強い、そして大好きな楽曲たちです。この他にも残念ながらOTOTOYで配信されていないため入れられなかったアーティストも多数あり。今年後半、ますますこの方面の動きに期待大です。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈Sakura Chill Beatsで公開されたヒロアカEDテーマ曲のRemix、配信開始。〉、the peggiesの “足跡 (RetroVision Remix) [EXTENDED MIX] – Sakura Chill Beats Singles”、他、ウ山あまねの “来る蜂”、Laura day romanceの “happyend”、Samiaの “Show Up” の4曲です。

優しく力強い、確信

(OTOTOY EDITOR’S CHOICE Vol.126「優しく力強い、確信」からの転載です)

去年のなんだかよくわからない連休から、ちょうど1年がたちました。今年のこのコラムも去年と同じ、連休2日目の金曜日です。オリンピックは本当に始まってしまいました。できるものなんですね。すごいな。

1年前のこのコラムのタイトルは「延期(中止)になったもの」、来日公演が延期・中止になったアーティストの曲を集めたものでした。あれから1年、日本国内アーティストのライヴやイヴェントは各種制限の下で昨年秋頃から再開されましたが、来日公演はまだ戻ってきていません。そもそも欧米ではライヴ自体がようやくこれから再開かという段階です。

この1年、多くのアーティストたちの制作活動は否が応でも宅録・ベッドルーム志向となり、表現世界も内向的になりました。それは「変化」です。では今回のパンデミックより前からその志向にいた人々はどうしたのでしょう。彼・彼女らは何も変わらなかった? そうではないと思います。一概には言えないですが、もとからそこにいた人びとは昨年以降、逆に視界がクリアになり、確信と自信を持って前に進めるようになったのかもしれない。今回はそんなことを感じさせる、優しくも力強い楽曲をまず9曲、すべて海外女性アーティストが今年リリースした作品から集めました。

そして昨年と同様に最後の1曲は日本のアーティストから。今回はTHEティバの曲を。

THEティバについては、幸運なことに昨年以降何度かライヴを観ることができました。ここに挙げた海外9アーティストのライヴも待ち遠しく思います。彼女たちの来日公演が実現する、そんな日が早くやってくることを祈りつつ。

(プレイリストのSpotify版はこちらです)

被る

(OTOTOY編集後記からの転載です)

同じ日に行きたいライヴが複数あることがあります。「被る」とかよく言いますよね。被ったときにどちらかを選ぼうとすると気を病むしキリがないので、マイ・ルールとして「基本、先にチケット買ったやつに行く」ことにしています。例外はその都度判断。あと、なんでか知らないけど、行きたいライヴが集中する日もありますよね。個人的に「特異日」とか呼んでますが、こちらは一般的な言葉じゃないかも。先週の土曜日17日はそんな特異日でした。4つくらいまでは数えてたけど途中で数えるのをやめました。発表があるたびに「あ、7/17ね……」みたいな。この日もマイ・ルール貫徹により、揺らぎのレコ発・初のワンマン・ライヴへ。文句なし。いい空気の振動でした。よくやったぞマイ・ルール。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈左右に置かれる淡い音の鮮明さ、懐か新しいサウンドが印象的。もちろん曲も良し。〉、Clairoの “Amoeba”、他、colormalの “さまよう”、chloe moriondoの “girl on tv (acoustic)”、神はサイコロを振らない, アユニ・D, n-bunaの “初恋” の4曲です。

FRUN FRIN FRIENDSのリリパにいった

(OTOTOY編集後記からの転載です)

先週リリースされたフルフリの1stフル・アルバムがとても良かった。曲たちが見事なまでにすべて良く、その上で彼女たちが創り上げ、確立した彼女たち自身のトーン、確固たる世界が際立ち、眩しささえ感じます。聴いていてちょっとグッときてしまいました。そしてそのリリース・パーティーが金曜日に(これが初ワンマン?)。こちらもとてもとても良いライヴでした。アルバム全曲を(ほぼ)曲順通りに披露。途中に挟まれた「お楽しみコーナー」としてあヴぁんだんど“さん”の曲もあり。ラスト2曲がアルバムとは順番を替えて、本編ラストに“プアンコンタイ(เพื่อนชาวไทย)”、アンコールに“カステラたべたい”。“カステラたべたい”はOTOTOYで販売しているハイレゾ版にのみボーナストラックとして収録されているアコースティック・バージョンで、はじまったとき心の中でガッツポーズが。ほんと大好きなんですよね、このバージョン。

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今週のOTOTOY NEW RECOMMENDへの推薦曲は、〈フルフリの最高な1stアルバムから、The Broken TVカバーのこの曲を〉、FRUN FRIN FRIENDSの “プアンコンタイ(เพื่อนชาวไทย)”、他、Always You, Cony Planktonの “All I Wanted Was You (Japanese Version)”、長谷川白紙の “わたしをみて” の3曲です。

そして先週の推薦曲は、〈韓国インディロック・シーンから日本へ、至極の一曲〉、The Black Skirtsの “EVERYTHING (Japanese Ver.)”、他、Sisters In The Velvetの “Love, Massacre”、Daokoの “fighting pose”、Tomggg, Lil Soft Tennisの “Rent A Car”、あたらよの “8.8” の5曲でした。