(OTOTOY REVIEWS 連載「REVIEWS : 113 インディ・ポップ〜ロック (2025年10月)──OTOTOY編集部」から転載)
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zoo『WISH I WERE』
「岡山の至宝」とも呼ばれる3人組、zooによるアルバム。オルタナティブな衝動と、まっすぐな歌心、いまを生きる青春の焦燥感が、ひとつの「オルタナ歌謡」として結実している。ギターボーカル・みちのぶななこは超右腕のメンバーとしても知られるが、この歌詞をこのメロディで歌うのは彼女以外にいないと、一聴で確信させられる。歪んだギターと親密な歌メロが拮抗し、ままならなさや生きづらさ、根拠のない高揚といった感情の湿り気が押し寄せる。音楽やギターへの揺るぎない愛に満ちた作品。もはや「岡山の」どころではない、日本の宝だ。
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peal『peal』
東京のインディー・ロック・バンド、pealによるセルフ・タイトルの1stアルバム。ドリーミーな質感をまとったインディー・ロックが、今どの地点まで自然にポップへ接続できるのかを示す一枚だ。浮遊感のあるサウンドのなかで鳴るギターは、技巧や記号にとどまらず、軽やかにポップさをまとい、楽曲の親しみやすさを確かなものにしている。音像は淡くにじみながらも、その芯は決して曖昧ではない。近年のインディー/オルタナの流行が持つ裾野の広がり、その豊かさを静かに体現する一枚。肩肘張らずに聴けるが、気づけば「今」の空気がしっかりと封じ込められている。
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