Lenny Kravitz

--- JAPAN TOUR '91 ---

(part 2)

[7月11日]

さあ、今日は、チッタ川崎だ。

去年は、渋谷クアトロのチケットを必死の思いで買った。 でも、結果は例の通り。しくしく...

去年来日が中止になった時、まあ、いつかきっと来日してくれるだろう、 けど、もう狭い小屋での all standing のライブはないだろうな、と思っていた。

しかーし。クアトロはさすがに無理でも、今年はチッタがあると言うではないか。 あんなタイトなスペースで、レニーが見れるなんて、 今度こそ。今度こそ、本当に最後のチャンスかもしれない。


整理番号A−23という、信じられないようなチケットを 持っていたにもかかわらず、開場に遅れてしまった。 というか、18:30開場予定なのに、Aブロックは、 6時過ぎに入れてしまったらしい。

これは、痛恨っ(;_;)。 しかし入場してみると、まだまだ、入り込む余裕がありそう。まあ、良いか。

会場で、はるきさんと会う。 結局、全公演制覇予定。今日で4つ目だと言う。うーむ、何て奴... (^_^; 他に知り合いはいないみたいだなあ。 ゑびはらさんは、今日は来ないらしいし。

開演時間から30分くらい遅れて、さあ、いよいよ、始まりだー。


一発目は WHAT THE .... ARE WE SAYING? そして二発目は ALWAYS ON THE RUN. 最初っから、観客は目一杯熱狂している。 レニーもガンガンにノッているようだ。 ALWAYS ON THE RUN では、早くもギターの弦をぶち切ってしまった。


「悪の巣窟」と名高いチッタのAブロックは初体験だった。 みんな、ガンガンに押し合うわ、飛び跳ねるわ、ダイブする奴まで出るわ。 すげーな、こいつら。( <- 人のことは言えない ^_^;)

# ゑびはらさんって、いつも、こーゆーことをしてたんですね(^_^)。
レニーも、 「君ら、なんてクレイジーな連中なんだ。 どーして、人が頭の上を転がってくるんだよ。」 とか言ってたし。
# "You are so crazy people." とか言われても、
# 日本人は "イェーーイ" としか応えないので、
# レニーも、真剣にアキレていたようである(^_^;)。
でも、レニー。お前に crazy って言われる筋合はないぞ、つーか(^_^)。

僕は、最初は、Aブロックの真ん中辺にいたが、 スキを突いて、じわじわと前に進む。 最終的には、前から5列目。 レニーから見て、右斜め15°あたりのポジションをキープ。 目の前、約5メートル前でレニーが唄っている。 がーん。こぉーれは、かんどーだあー! (^_^)(^_^)(^_^)

# FIELDS OF JOY のイントロのギター、レニーの指見て、
# 目でコピーしてしまったぞ(へへへ)。

結果を先に言ってしまうと、この日演った曲目(曲順も)は、 アンコールの FREEDOM TRAIN が抜けたことを除いて、 9日の渋公と同じだった。

でも、この日のライブが僕に与えてくれたものは、 渋公の数倍数十倍以上、というより、 全く質の違うものを与えてくれた。

やっぱり、狭い小屋での all-standing live は、 ホールコンサートとは、全然別の代物だ。 空気の密度が、較べものにならない程違う。

前の方にだーっと固まっている限り(^_^)、 観客は、アーティストと完全に同じ空気を共有することが出来る。 そして、その空気の密度がアーティストにも伝わり、 とんでもないプレイをしてくれることがある。 この日のチッタのライブは、まさに、それだった。

# ホール・コンサートだと、どうしても、
#   「彼が連れてきてくれたんだけど、あんまし趣味じゃないよのね」とか、
#   「ま、取り敢えず見ておこうということで、チケットを回してもらいました」
# とかいう雰囲気を漂わせた連中がいて、
# どーも、気分が盛り下がってしまうんだよね(:-<)。

はっきり言って、この日のことは、良く覚えていない。 とにかく、興奮しきって会場を出てきたのは確かなんだが。 でも、一つだけ。これだけは、絶対に書かかなきゃいけないことがある。

誰かさんと違って(^_^;)全公演走破した訳じゃないし、 名古屋や大阪の公演も、きっとすげえ盛り上がったんだろうけど、 僕が勝手に判断した Lenny Kravitz, JAPAN TOUR '91 の ベスト・シーンは、確かに、この日のチッタに存在した。それは...


アンコールの一曲目。 例によって、レニーが一人で出てきて、 アコースティック・ギターを持ち、ROSEMARY を弾き始める。 観客は、もう、ほとんど正気じゃない。 歌が始まる。

"Little Mary ..."

思いっきり声をあげ、一緒に唄い出した奴もいれば(俺だ俺 ^_^)、 レニーの唄を身体に染み込ませようと、じっとしていた奴もいただろう。

"Rosemary ..."

サビの部分に入ると、歌声が一層大きくなる。 そして、サビの最後のフレーズの手前で、 レニーが、ギターのカッティングを、カチッとブレイクする。 その後をレニーは唄わなかった。 でもその代わり、会場中のみんなの歌声が続いた!

"... onto the beads at your heart"

本当に大きく、はっきりと、会場内に響き渡った!! あの時僕が見たレニーの表情は、一生忘れられない。

レニーは、その観客の大合唱を聞くと、 目を閉じ、首をゆっくりと振り、本当に最高だ、という表情をして、 それに応えるかのように、マイクに向かって思いっきり叫んだ!!!

あの時のレニーのシャウトは、一生忘れられない。 あの大合唱は、今も僕の耳に、心に、焼き付いている。

# 単に、僕がそう思っただけなのかも知れないけどね(^_^)。

そして、この日の LET LOVE RULE...

レニーが、どんなふうに唄ったのか、どんな表情をしていたのか、 そして、その時自分は一体何をやってたのか、 そーいったことは、全然記憶にない。 でも、あの時自分を包んでいた空気とか、 自分の中から湧き上ってきた感情とか、 それらの感触は、今でもしっかりと僕の中に残っている。


最後、レニーが投げたタオルが、自分の(本当に)頭の上に降ってきた。 げげげげげっ。じゃーーんぷ... できない。(だって人が詰まってるんだもの ^_^;) タオルは掴んだ。でも、同時に、みなが、がーっとタオルに群がってきて、 押し潰されてしまい、奪い取ることは出来なかった。残念(;_;)。

# でも、まあいいや、一度はしっかりとタオル握ったし、
# ついでに、それで汗拭いちゃったし(^_^)。

... ウルトラスーパー大盛り上がり大会が、とうとう終わってしまった。

会場が明るくなる。 僕の横では、6,7人で、さっきのタオルの奪い合いを、まだやっている。 (結局、最後はジャンケンで決着をつけていたようだ) はるきさんを発見。はるきさんは、真っ正面キープ作戦だったそうな。

二人して、「すっげーなー、しかし」「ほんと、すごかったねー」とか、 訳の分からんことを言いながら(^_^;)、会場を後にする。


結局、僕が見た内でのベスト・ライブは、この日だった。

タイトなスペースでの一体感。 本当にレニーが好きな観客達。 レニーやバンドも、高密度な空気を吸って最高のプレーをしてくれた。

本当に最高のライブだった!! この日この時、ここにいられて、本当に幸せだった!!!

# キレまくってたせいで、内容は全然覚えてないかったりするんだが... (^_^;
レニー。ほんとに、おめーは、凄え奴だわ...


[7月15日]

とうとう、この日がやってきてしまった。 週末は、レニーのアルバムを聞きまくっていた。 チッタから高まりっ放しだったテンションが徐々に下がってくると、 それは、段々と寂しさへと変わっていった。 もう、今日が最後だなんて。 あと一回しか、レニーが見られないなんて。(;_;)(;_;)(;_;)

中野サンプラザに到着。 何か、嬉しいんだか悲しいんだか、良く分からん。 席は3列の一番左端、PAのド真ん前(耳が死にそう...)。 前には席はないので、最前列と言えなくもないかな。 渋公みたいにステージを降りてくれたら、 レニーに触れるかもしれんな。ふふふふふ(^_^)。


開演前の会場には、熱気とはまたちょっと違った雰囲気が流れている。 みんな一抹の寂しさを抱いているのだろうか(なんて... 勝手な推測 ^_^)。 開演時間から、30分が過ぎようとしている。 ようやく照明が落とされる。 今日も清志郎でも出てくるのかな、と思っていたら、 レニーは、あっさりと、バンドのメンバーと一緒に出てくる。

暗いままのステージから、"brothers and sisters" というレニーの声。 そして、やっぱり、WHAT THE .... ARE WE SAYING? で、ステージは始まった。 会場に響き渡る大合唱は、相変わらずだ。 PAの目の前にいて、その音がガンガンしているのに、 それを上回る観客の歌声が聞こえてしまう。

僕の隣にいた、MAMA SAID のジャケットでレニーが着てたのと 同じようなベルボトムのパンツをはいた(^_^;)兄ちゃんも、 全曲、完全に唄い続けていた。おそるべし...


ステージを真横から見る席というのも、結構面白い。 レニーがバンドのメンバーの方を振り返って、 ニコニコしながらギターを弾く表情が印象的だった。 本当に楽しそうにプレイしていた。 それと、ステージ反対横のブルーの照明に照らされ、 逆光の中に浮かぶ後ろ姿のレニーのシルエット。 すっ、と立った姿が、とってもカッコ良かったぞ。 ファンの女の子なら失神したかもしれん(^_^)。


この日のレニーは、ちょっと疲れていたのかなあ。 リラックスしていたという説もあるが... レニーが、一曲一曲終わる毎に "Thank you!" と言いながら、 終末へ向かって、ステージは進行して行く。 ツアー最終日とあって、声の調子も、あまり良くないようだった。 ステージの終盤からは、明らかに声が変わってしまっていた。

最終日だから、何かエクストラの曲とか、アンコールがもう一曲とか、 そんなことがあるのかと期待していたが、 結局それもなく、またもや渋公と全く同じ構成だった。

最後、LET LOVE RULE を唄い終えると、レニーはそのまま引っ込んだきり、 もう二度と出てこなかった。ガニマタダンスも見ることは出来なかった。 結局、ステージ下にも降りてきてくれなかった(残念)。 まだまだ終わらせんぞ、という拍手をさせる間もなく、 客電が点き、クルーがさっさと機材をかたずけ始めてしまった。

...


あーあ、終わっちまっただ... (;_;)(;_;)(;_;)

ぼーぜんとしてしまいましたよ((C)姐御)。

私ゃ、これから、何を支えに生きてゆけば良いんだろうか... また、レニーを見れる日は、本当に来るんだろうか。


でも、この日、レニーは、

「お前ら、本当に良く一緒に唄ってくれるなあ。 今まで5か国くらいツアーで回ってきたけれども、 日本のみんなが一番大きな声で唄ってくれるぜ。」
って言ってくれた。 この言葉を聞いて、すんげー嬉しかった(^_^)。 これで、レニーが日本のことを、しっかり覚えていってくれればいいな。

レニー。ぜひぜひ、また、日本に来ておくれ。 また、いくらでも、あの大合唱を聞かせてあげるから。ね。(^_^)(^_^)(^_^)


(from news:203128@nttlab.ntt.JP in news:fj.rec.music, 1991/7/19)
<takadat@st.rim.or.jp>