2002 FIFA World Cup™ (たぶんその2)

(2002/12/29)

今年も終わろうとしているのに、いまだにトルシエ・バッシングに勤しむ皆さま、お元気でしょうか? って、実際には、ぜんぜん観ても読んでもいないので実態は知らないんだけど。

トルシエが好きか嫌いか何てことはどーでもいいし、そのサッカーが、その采配(って似合わない言葉)が、なんてのも、価値観や評価軸の違い以外のものを見たためしが無いので、さらにどーでもよい。評論家・コメンテイター・作家・ライターが馬鹿で商売第一なのはトルシエの存在とは独立事象なので、それもこの際どーでもよい。でも一つだけ大切なのは、トルシエの言っていたことを全部聞けば[読めば]、その一貫性であるとか(ある種の)論理性は極めて明らかなものだった、ということだ。あれを読んでいれば、いわゆる「誹謗中傷」の大部分は説得力的に負け、だったことが良く分かる。


今年のワールドカップへの過程で極めて印象的かつ貴重だったのは、トルシエや選手へのインタビューのほぼ全文がWeb上で読めたことだ。残念ながらイサイズ・スポーツにあった記録は最早残骸すら残っていないが、スポナビではまだトルシエ会見アーカイブが読めるし、選手のコメントも僅かながら残っている。

これを読んでしまったら、テレビで20秒程度引用される会見模様や、新聞に抜粋される会見文が如何にデタラメで恣意的なものが良く分かる。そのことには以前から薄々気付いてはいたが、これ程までに酷いものだったとは。

ついでに言うと、ロシア戦の後だったか、ミックス・ゾーンでのインタビューの様子をテレビで長々と流していたが(初めて見た)、いつもあんな馬鹿なインタビュア共にあんな馬鹿な質問されてんのかと思うと、不憫で不憫で…

今回起きたのは、その「原材料」と「完成商品」が同じテーブルの上に並べられることによって、マスコミは何をしているのかが白日の下に晒された、ということだった。

実はこれはワールドカップ・インタビューに限ったことではなく、最近は日々、同様の晒し刑が行われている。新聞各紙のWebサイトを見ていれば、その記事の多くが通信社の配信記事を単に張り付けているだけだということが分かるし、その他の記事も、企業・公的機関のプレスリリースとその際の口頭説明(質疑内容)を単に切り張りしただけだということが読み取れる。また長野でK嬢がやっていることも、県庁・県議会から直接出される情報とTV・新聞等の報道の「差異」を懇切丁寧に解説する、という手法で同様のことを行っているのだろう。

今回のワールドカップ報道では、『韓国・誤審』関連等で、マスコミの欺瞞性あるいは大衆との解離が明らかに云々… という話がネット上で話題になったが、個人的にはこの、「原材料」丸出し、の方がインパクトのある出来事だったと感じている。PC Watchが生まれて6年、ついに新聞にトドメをさした後の世界について考える日が近づいてきたかと思うと、感慨深いかも。


とはいえ… やはり大きな問題は、イサイズ・スポーツのインタビュー記事はもう読めない、というこの事実だ。この点は解決すべき課題である。

しかし、イサイズ・スポーツの旧コンテンツは一体どうするつもりなんだろう? 今後あれで商売する気が無いのであれば、抱え込んでないで、どこかに放出すればいいのに。(いや、実は、私のところには、たまたまほぼ全データがキャッシュに残っちゃっているのでいつでも読めるんだけどさ〜 :-b)

ついでに、トルシエの全インタビュー、どこかまとめて本にして出版してくんないかなぁ。分量的にどれくらいになるのか想像付かないけど、そのまんまでも6,800円くらいまでなら買うぞ。全質問者の名前と当時の所属を付けてくれるなら、9,800円出す。英日・仏日チェックを全部かけて、通訳上の誤解とか齟齬とかに注釈入れてくれるなら、20,000円出す(ほんとかよ :-)。色んな意味で記念碑的だと思うぞ。たぶんゴーン本より遥かに大きな意味がある、マジで。

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